2001-05-01から1ヶ月間の記事一覧

スティーブン・ソダーバーグの『イギリスから来た男』をビデオで

スティーブン・ソダーバーグの『イギリスから来た男』をビデオで。テレンス・スタンプとピーター・フォンダは、本人の役で出演しているという訳ではないのだけど、現実の世界のテレンス・スタンプ、ピーター・フォンダという人物の実在が、映画のフィクショ…

ある日の会話

よく晴れておだやかだった空に、いつの間にかどんよりとした雲がかかって光を遮り、風がザザーッと渡ってきて木の葉を鳴らす。「嫌な雲が出てきたねえ」「なんか、降りそうですよね。」「昨日みたいになるのかねえ、昨日はひどかったからねえ」「いや、この…

夢をみた

夢をみた。小さなオープンカーで、友人たちとドライブをしている。この友人たちは、夢のなかでは友人という設定になっているが、現実のぼくの友人とは違う。そのことをぼくは、夢のなかで意識している。ドライブをつづけるうち、車は妙な場所へ入り込む。戦…

子供のかん高い奇声

子供がしばしばかん高い奇声を発するのは、おそらくそれによって自分の身体の存在を確認しているのではないかと思える。声が喉を震わし、脳天から身体を突き抜けてゆくその感覚を感じることで、自分自身の身体像を、その運動性を、視覚的なものとは違った形…

ダニエル・シュミットの『ベレジーナ』

澁谷のユーロスペースで、ダニエル・シュミットの『ベレジーナ』。『ベレジーナ』が傑作であるということは、直接的にも間接的にもいろいろと聞いていて、観る前からかなりの作品だろうと予想し、期待もしていた訳だけど、そういうこちらの予想などあっさり…

『佐藤信介ワールド・正門前行/月島狂奏』をビデオで

『佐藤信介ワールド・正門前行/月島狂奏』をビデオで。これを観てみようと思ったのは、やはりどこかで『ひまわり』(5/7の日記参照)という映画が気になっていたからで(佐藤信介という人は『ひまわり』の脚本家でもある)、観て思ったのは、『ひまわり』の面白…

阪本順治の『顔』をビデオで

阪本順治の『顔』をビデオで。これは素晴らしい。この映画がテアトル新宿で公開されていた頃、丁度ぼくは新宿で小規模な展覧会をやっていて、何度もその前を通っていて、面白そうだから観てみようかなあと思ったものだったが、結局やめてしまった。こんなこ…

阿部和重『ニッポニアニッポン』を読む

(昨日につづき、『ニッポニアニッポン』について、もう少し。) 阿部和重の小説は、基本的に「私」と世界の闘争を描いていると言える。その時、「私」は、すでに様々なメディアによって世界に貫かれた、世界によって造形された存在(データベース=インターフェ…

阿部和重『ニッポニアニッポン』を読む

新潮6月号に載っている阿部和重『ニッポニアニッポン』を読む。阿部和重の小説は、基本的に孤独な人物のモノローグによって出来ている。この小説において、主人公と語り手の間に微妙な距離が設定されているが、それでもこの小説の流れそのものが、主人公の妄…

セドリック・カーンの『倦怠』をビデオで

セドリック・カーンの『倦怠』をビデオで。どう考えても強引で無理のある展開をテンポの良さだけで納得させ、古臭くて特別面白いとも思えない題材を丁寧で冴えた演出で最後までみせ切ってしまうセドリック・カーンの演出家としの力量は大したものだとは思う…

アレクサンドル・ソクーロフの『ドルチェ-優しく』

アンゲロプロスの『永遠と一日』をビデオで観直していて、このとても美しい、何かが崩壊してゆく様を前にして、その崩壊の内部にいながら、崩壊に安易に同調してしまうことに断固として抵抗しているのだけど、その抵抗の素振りそのものが「崩壊」という事実…

アレクサンドル・ソクーロフの『ドルチェ-優しく』

BOX東中野で、アレクサンドル・ソクーロフの『ドルチェ-優しく』。ぼくは必ずしもソクーロフを「好き」ではないのだが、それでも、ソクーロフが恐ろしいほどの動物的な嗅覚をもった天才であることは疑いようのないことだと思える。例えば、この映画の正方…

ある日、風邪をひく

治りかけていると思っていた風邪が案外しぶとい。予定をキャンセルして昼間は寝ていることにした。呼吸をするたびに、肺のあたりに妙な引っ掛かりがあって、ぜいぜいする。しかし、この「ぜいぜいする」という言葉は、風邪の症状をあらわすときに一般的に使…

行定勲の『ひまわり』をビデオで

行定勲の『ひまわり』をビデオで。忙しさも峠を越え、風邪も直りかけているので、ちょっと軽めに映画を観ようと思った。決して褒められるような作品ではないし、かなり恥ずかしい映画だけど、嫌いとは言い切れないところがある。出だしの部分で、同棲中のカ…

ある日、風邪をひく

明け方、寒くて、身震いで目が醒めた。気付いたら、身体は冷えきっていて、首すじから背中にかけて、身体の芯からくるような重たい震えがはしっていた。夢のなかでは、このツーンと芯から伝わる震えが、肉を金属とか紙とかで鋭くスパッと切ってしまった時の…

ある日、風邪をひく

5月とは思えない寒い夜。駅からバスターミナルを越えてゆく立体的な歩道を通って歩いてゆく。銀行の建物の裏側の細い道、しばらくずっと壁が続いているところに、その壁の無表情さを隠すために、小さくて細長いディスプレイ用のショーウインドウがあるのだが…

リヒター/フォトペインティング/ウォーホル

64年から65年頃の、フォトペインティングを制作している時期のゲルハルト・リヒターのノートから引用。 《人やものをデッサンするときは、プロポーションや正確さ、抽象やデフォルメといったことに意識的になってしまう。写真を描き写せば、そんな意識は遮断…

連休の中休み/絵を描くこと

連休の中休みで、まともに授業をやってもしょうがないということなのだろうか、近所の中学生たちが、大勢(1クラスというのではなくて、1学年全てという感じ)が出て、公園やその近くでパラパラと散ってしゃがみ込んで写生をしていた。いまどきの中学生が、こ…