2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ロッカーのハナコさん』の後半

●ビデオで『ロッカーのハナコさん』の後半(13話から24話)を観た。前半を観てから随分間があいてしまった。しかしこれはとても面白いドラマで、ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』の非常にうつくしいヴァリアントとも言える。(このドラマの制作者たちが『…

●「風の旅人」の最新号(20号「ALL REFLECTION」http://www.eurasia.co.jp/syuppan/wind/index.html)が届いた。ぼくの書いた「現代生活のなかの絵画・記憶と動き、色彩と線描」というテキストが載っています。マティスの言葉を引用しつつ、絵画における色彩は…

「InterCommunicaton」の郡司・保坂対談より引用

●「InterCommunicaton」の郡司ペギオ-幸夫・保坂和志、対談より引用。郡司氏の発言。『カンバセイション・ピース』における、デジャヴとお化けについて。 《僕はデジャヴというのは、抑圧されたAha ! 体験みたいなものだと思うんですね。まず、デジャヴに多…

「文學界」の曾野綾子

●ある人から、今月の「文學界」の曾野綾子は凄い、という話を聞かされていた。何が凄いといって、最初の1ページ読むだけで、凄く嫌な気持ちにさせられる、と。たった1ページでここまで人を嫌な気持ちにさせられる曾野綾子は相当なものだ、ということだった。…

『銀河ヒッチハイク・ガイド』の映画版をDVDで観た

●『銀河ヒッチハイク・ガイド』の映画版をDVDで観たのだが、テレビシリーズの面白さがまったく生かされていなかった。SFXが豪華になったり、エイリアンやロボットの造形が精密になったり、戦闘シーンが派手になったりすることは、この「お話」の面白さとはほ…

『キューティー・ハニー』(庵野秀明)をDVDで観た

●『キューティー・ハニー』(庵野秀明)をDVDで観た。これは予想外に面白かった。庵野監督の「エヴァ」以降の作品は、『彼氏、彼女の事情』はまったく面白くなかったし、実写で撮った『ラブ&ポップ』は悲惨な出来と言っていいと思う(だから『式日』は観てない…

●銀行のキャッシュカードを無くしたみたいだった。ぼくは財布やカード入れなどを持たず、お札も小銭も各種カード類も、もらった名刺やちょっとしたメモや領収書も、鍵なんかも、適当にあちこちのポケットに突っ込んであって、今まで特に困ったり、大事なもの…

藤田嗣治の「戦争画」について

●藤田嗣治の「戦争画」について、ちょっと書いてみる。フジタの戦争画は四十年代に描かれている。この時代、ピカソやマティスは既に一般的に認められて、大家として晩年を迎えているし、アメリカでは、戦火を逃れてきたヨーロッパの先鋭的なアーティストと、…

●夢を見た。どこかの店から出てきて、中にいる友人を待っている。店は斜面に建っている。店の前の道から見下ろすと、斜面に貼り付くように小さな住宅がびっしり立ち並んでいる。ずっと遠くまで見渡せる谷の方から風が吹き上げて来る。人通りのない道に、二人…

セザンヌに無くてマティスにあるのが「線」という要素で

●セザンヌに無くてマティスにあるのが「線」という要素で、というか、「線という要素」という言い方をすると間違いのもとで、それは線だけの問題ではなく、フラットな平面に線が及ぼす作用についての探求と言うべきだろうけれど、一昨年の末のマティス展で多…

『よつばと!』(あずまきよひこ)の3、4、5巻を読んだ

●『よつばと!』(あずまきよひこ)の3、4、5巻を読んだ。さすがに、ここまで要素を限定した抑制された展開だと、後に行くにしがって段々に苦しくなって(単調になって)ゆくように思う。(しかしこれは、単行本が既に五冊出ている時点で読み始め、短期間に通して…

引用『世界共和国へ』(柄谷行人)より

●覚え書き、引用。『世界共和国へ』(柄谷行人)より。 ●宗教によって理念が生まれたこと。 《ここで強調しておきたいのは、普遍的な宗教は社会運動を生み出したとはいえ、それ自体けっして政治的・経済的な運動ではなかったということです。十九世紀の社会主…

『未来少年コナン』

●いつ頃から観始めたのか忘れたけど、ここ何ヶ月かかけて折に触れてちょっとずつ『未来少年コナン』をDVDで観ていて、今日、最後までたどり着いた。(日記を調べたら、3月15日からだったから約二ヶ月かけて観たのだった。)これはやはり圧倒的に宮崎駿の最高傑…

こうの史代

●こうの史代の絵が、どうしても「好き」にはなれないところがあるとしたら、おそらく線があまり美しくないからだと思う。この人の引く線の、ちょっとした癖の感じは、下手をすると滝田ゆう的な叙情性を纏い易い。それが悪いとは言わないが、それはどうしても…

こうの史代『さんさん録』(1)、『長い道』

●こうの史代『さんさん録』(1)、『長い道』を読んだ。 昔、高校生の頃流行っていた「うる星やつら」を観て(ぼくが知ってるのはアニメのみで、原作のコミックは読んだことがない)、ラムちゃんは徹底的に男性にとって都合のよいファンタジーとしてつくられたキ…

●ホームへ駆け上がったところへちょうど来た電車に乗り込む。平日の昼間とはいえ、不自然に空いているように感じる。シートに座り、胸のポケットからi-Podを出して、イヤホーンを耳に詰める。電車がゆっくりと動き出す。どんよりと重たい空の、窓の外の風景…

引用二つ

●引用二つ。 《人が考えるよりもはるかに多くの言語がある。そして人間は、自分が望むよりもはるかに頻繁にみずからを暴露する。なんと多くのものが語ることだろう----しかし聴衆はいつもほとんど存在せず、それゆえに人間が告白のなかに自己を吐露するとき…

六月の展覧会のDMが出来上がる、そして『ソラニン』(浅野いにお)を読

●六月の展覧会のDMが出来上がる(画像http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/a-things.html)。吉祥寺まで行って、帰ってくる電車のなかで、『ソラニン』(1)(2)(浅野いにお)を読んだ。そんな、物語の都合で簡単に人を殺すなよ、と思う。これはもの凄く安易…

今年に入ってからは毛筆を使ったドローイングばかり描いているのだけ

●今年に入ってからは毛筆を使ったドローイングばかり描いているのだけど、毛筆で描く線は、色彩に匹敵するくらい、というか時には色彩以上に、表情が多様で、不安定で、捉えがたい。最近のドローイングは基本的に紙の上に墨汁で描いていて、それも水墨画のよ…

●新宿駅の、東口から南口の方へと向かう歩道。朝、十時を少しまわった時刻。中年の男性が、手を握ってグーにして、通路の柱を規則的に殴り続けていた。その様子は、何かしらの感情を露にしているのではなく、まるで機械仕掛けのように、淡々と、リズムをとる…

後期、相米慎二について

●相米慎二『風花』をDVDで観た。相米はぼくにとって青春の特権的な映画作家で(中学一年の時に『翔んだカップル』が、二年の時に『セーラー服と機関銃』が、三年の時に『ションベンライダー』が公開された)、徹底的にハマり込んだのだが、そのことで返って、…

●当たり前のことだが、作品の展示が終わったからといって、作品がなくなるわけではないし、何かが解決するわけでも、終了するわけでもない。画家の仕事は、作品を「観せる」ことではなく、その質を「つくる」ことにある。作品を展示するというのは、ある意味…

『マカロニほうれん荘』その他

●昨日読んだ『よつばと!』と、『さんさん録』(こちらはまだ読んでいない)は、新宿のジュンク堂のコミックのコーナーで買った。新宿ジュンク堂は何度も行っているけど、コミックのコーナーに足を踏み入れたのはじめてで、『マカロニほうれん荘』が(ぼく小学生…

『よつばと!』(あずまきよひこ)(1)、(2)を読んだ

●『よつばと!』(あずまきよひこ)(1)、(2)を読んだ。すごく良く出来ていて驚いた。何が良く出来ているかと言えば、読者に無駄な「心掛かり」を一切感じさせないように、徹底して摩擦を回避させる技術的な洗練が凄いのだ。例えば『ドラえもん』ですら、のび太…

リヒターはつまらない

●A-thingsの展示の最終日だったので、早いうちから会場にいて、何人もの人にお会いした。どうみても社交的とは言えず、普段あまり頻繁に人に会うような生活をしているわけではないので、二言、三言でも人と話をするのはとても刺激的なことなのだが、その分ぐ…

『かみちゅ』

●『かみちゅ』とかをDVDで観た。 ●『かみちゅ』は、1話と2話とが収録されたDVDの一本目だけを観たのだが、ゆるゆるの『千と千尋の神隠し』みたいな話で、結構楽しんで観られた。特に、全く説明抜きでシュールに展開する1話はかなり面白い。キャラクターを…

フランソワ・トリュフォー『家庭』、テレンス・マリック『天国の日々

●フランソワ・トリュフォー『家庭』、テレンス・マリック『天国の日々』をDVDで観た。 ●ぼくはトリュフォーに入れあげたことは一度もないのだが、たまに凄く観たくなることがあって、実際に観るととても面白い。でも何故か、観終わると、それ以上観たいとは…

●「TEXThttp://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/text.html」を更新する作業をしている時、何かの手違いで(何が原因なのかわからないのだけど)、「偽日記」のデータが全て消えて真っ白になってしまった。出かける間際だったし、一体何が起こったのかと一瞬…

『二十歳の死』、その他

●風邪が随分と良くなったのと、空がからっと晴れ上がったのとが重なって、とても気分がよく、ちらっと立ち寄った紀伊国屋書店で、(最近は本屋の棚をのぞいてみても全く本を読みたいという気持ちにならなかったのだが)あれも読みたい、これも面白そうだと、随…

風景

●ホテルのロビー。母親と子供がふざけあっている。子供が両掌を垂直にたてて、そこに母親がパンチをうつ真似をする。二発、三発とうつ。今度は逆に、母親が掌をたて、そこへ子供がパンチをうちこもうとする。母親はパンチを誘うように見せて、子供がパンチを…