2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

●『永久帰還装置』(神林長平)。なんかすごく普通だった。この超かっこいいタイトルから、もっとハードで思考実験的な性格の強い小説なのかと予想していたけど、きわめて常識的なエンターテイメント小説だと思った。決してつまらなくはないけど(つまらなかっ…

●青山ブックセンター本店に平倉圭の『ゴダール・ソシアリスム』に関するレクチャーを聞きに行く。このレクチャーの案内のメールがインスクリプトの編集の中村さんから届いたのが前日の夜で、そのメールをぼくが開いたのは当日の昼過ぎで、今日は一日がっつり…

●友人の展覧会の展示を手伝う約束をしていたのだが、時間を勘違いしていて、ギャラリーに着いたら既に展示は完了していて、作家も帰った後だった。携帯が壊れたせいで、直前に来たはずの確認の電話も受けられなかったのだ。すぐに謝罪の電話をしたかったが携…

●『鴉』(麻耶雄嵩)を読んだ。ちょっと前に読んだ『夏と冬の奏鳴曲』が思いの外おもしろかったから。 人が、最初の他者のなかに見出すのは、文字通りの「最初の他者」であると同時に「自分自身のモデル」であり、そしてさらに、世界と自分とが分離してしまっ…

●考えてみると、河本英夫の言っていることはとんでもなく過激だ。たとえば、人が手を挙げるという時、「手を挙げよう」と意識・意思することによって(それが原因となって)「手が挙がる」と考えることがそもそも意識のもつ「自然な誤解」で、実は、「手が挙が…

●『化物語』のDVD一本目(「ひたぎグラブ」)を観ていて、その様式性(様式美)、シュールな展開、楽屋オチ的、自己言及的、自意識過剰的な語り口、(自己防衛的な先回りとしての)カットの手数や仕掛けの多さや饒舌さ等から、久しぶりに、いかにも「あー、アニメ…

●携帯電話が壊れたみたいで、相手からの声がまったく聞こえない。声どころか、まったく何も、雑音すら聞こえてこない。今年の始めに新しいのに替えたばかりなのに。連絡はメールでお願いします。こちらからかけ直しても音が聞こえないし、留守電も聞けません…

●引用、メモ。『認知哲学 心と脳のエビステモロジー』(山口裕之)の「生得性再考」の項より。ここに書かれている通りだとすれば、「すべては遺伝子に書き込まれている」とか、「生物は遺伝子の乗り物でしかない」という考えは成立しなくなる。というか、遺伝…

●ときどき、自分を信用できなくなることがある。手紙を出そうとして、相手方の住所を書いて、裏返して自分の住所を書こうとした時、自分の住んでいるところの番地が出てこなかった。いや、出てこなかったのは一瞬で、すぐに出てはきたのだが、それがどうして…

●引用、メモ。『臨床するオートポイエーシス』(河本英夫)より。「できる」ということと「知る(意識する)」ということとは違う。しかし、「できる」と「知る」とを、まったく別物として分けるのは下らない。「知る」は、「できる」に含まれる。だとすれば、「…

●青木淳悟「私のいない高校」(「群像」二月号)をようやく読み始めた。まだほんとうに「読み始めた」だけで、全体の三分の一も行ってないけど。 こういう小説を書こうと思うこと、そしてそれが自分には出来ると思うことがまずすごいのだが、それを実際にやっ…

●ずっとだらだら観ていた『ツイン・ピークス』がようやく最終話まで行った。それにしてもこの話は、終盤になるにしたがって、登場人物たちがみんな、そろいもそろってどんどん善人になってゆくという変な話なのだった。『ツイン・ピークス』の一番変なところ…

●ゆるゆる、と、ぐだぐだ、とは、似ているようでいて、実はそのあり様が違うように思う。ゆるゆるとは、ある形(や構造)を形として成り立たせている張力や、形を形として支えている支点や要点の力が抜けている(あるいは分散されている)ような感じのことで、ぐ…

●雪の日。 あなた方が窓の外を見たにしろ、見なかったにしろ、その時、窓から見える中庭に立つ大きなけやきの木の葉たちが強い風に吹かれてざわざわと揺れ、葉擦れの音をたてていた。あなた方は、もしその音を聞いたとしたら、外を見ずにはいられなかった。…

●夢の話。まだそれほど遅い時間ではないのに、駅前には人通りがまったくなく、しかも街灯すらない。目を凝らして見なければ何も見えないほどに暗いのだ。足元さえあやしい。この辺りもすっかりさびれてしまった。以前は、小さなロータリーとはいえ、その周り…

●展覧会のリーフレットにテキストを書くことになったので、秩父にあるアトリエまで、浅見貴子さんの新作を見せてもらいに行った。お昼くらいに駅につく感じで行きます、と言っていたのに、目が覚めたら十一時半だった。電車の連絡が悪かったせいもあって、西…

●『ゴーストキス』(いまおかしんじ)をDVDで。これ、すごい。すごいと言った後、つづけて何と言ったらよいのかわからない。いまおか的緩さはこんなところにまで到達したのか、というくらいしか。「これ」で映画を成立させてしまうことができる監督は、いまお…

●ツタヤへ行くために部屋を出て、雪のなかで、昨日観た榎本裕一の作品について思った(http://www.switch-point.com/2011/1103enomoto.html)。 ギャラリーに入ると、大小ふたつの直方体が立っている。小さい方の直方体の上に卵が置かれていることで、それが「…

●チェルフィッチュに限らず、岡田利規の作品では、多くは、男性がわりと能天気なのに対して、基調として女性は不機嫌であることが多いように思う(典型的なのが「労苦の終わり」ではないか、戯曲を読んだだけだが、ぼくはこの戯曲がとても好きだ)。しかし、そ…

●神奈川芸術劇場でチェルフィッチュ『ゾウガメのソニックライフ』。みなとみらい線にはじめて乗った。 前の、『わたしたちは無傷な別人であるのか』の(のちに『わたしたちは無傷な別人である』になったらしいけど、そっちは観てない)、隙がなくタイトで攻撃…

●『熱海の捜査官』を観たのをきっかけに、また『ツイン・ピークス』を観直している。まだ最後までは行ってないけど、ローラの事件が一応の解決をみた後、急速にぐたぐたになる。ここまでぐだぐだだったっけ、と思うくらいに。なんで、三分の一くらいまだ残っ…

●『ドックヴィル』(ラース・フォン・トリアー)をDVDで。ずいぶん前に一度観ようとして、三十分くらいでやめてしまった。あまり入り込んで観ると途中で嫌になってしまうので、なるべく軽めに、流して観る感じを心がけたら最後まで行けた。お話自体は、まあ、…

●あなたが夢のなかで目を覚ますと、そこは広い屋敷だった。だが、そこがあなたの家なのだ。あなたはいつも玄関の鍵をかけないし、窓にカーテンもない。木戸があるところだけ木戸を閉める。あなたは玄関脇の部屋で寝ていて、玄関からの人の気配で目覚めたのだ…

●『シャッターアイランド』(マーティン・スコセッシ)をDVDで観た。『インセプション』にしろこの映画にしろ、要するに新本格なんだよなあと思った。とはいえ、ぼくは新本格のことはあまり知らないし、ある程度は読んでいるという作家は法月綸太郎くらいだ(と…

●約半月ぶりに電車に乗った。とはいえ、横浜線はまっ平らな相模平野を行くので風景が単調で、しかももう暗くなっていて外がほとんど見えず、さらに帰宅ラッシュの時間で混んでいた。田舎を走るので外に光があまり見えず、窓には車内の人々ばかりが映り、そう…

●もうチェルフィッチュがはじまっているんだなあと思いつつも、全然外出モードにならない。ずっと閉じこもっているとあまりお金を使わないから本が買えて、で、また外に出ないで本を読む、というサイクルになってしまう。観たい展覧会も、あ、いかなきゃ、と…

●ベッドの夢。眠ってばかりいるのはベッドが無駄にたくさんあるせいだ。この部屋にも、使っていないベッドが三つ、部屋の隅で場所を塞いでいる。数えたわけではないが、ほかの部屋にもまだずいぶんあるはず。いつも使っているベッドはそれらとは別にあり、そ…

●ふと思い立って、本棚から『夏と冬の奏鳴曲』(麻耶雄嵩)を取り出してみたら、ほとんどそのままの感じで最後まで一気に読んでしまった(700ページもあるのに)。びっくりするほど、今の自分の関心に近いことが書かれていて(キュビズムに対する評価や見解はまっ…