2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

●『たまこまーけっと』四話。母の不在が強調され、その不在があんこ(たまこの妹)に影を落とす、しかし、あくまで肯定的な形で、という話。とても上品な表現だと思った(改めて考えると、『たまこまーけっと』は全体としても「母」が希薄だ)。 幼い(夢の…

●もうちょっと、『狼の群れと暮らした男』から引用。著者は、ダートムア野生動物パークというところで、柵で保護された狼たちの飼育係として働いていた。そこには六匹の群れが一エーカー(約四千㎡)程度の広さのなかで暮らしている。飼育係たちは通常、何日…

●去年、「セザンヌの犬」という短い小説を書いたのだけど、それ以来ずっと、犬というか、イヌ科の動物がなんとなく気になっている。「セザンヌの犬」には、犬と人とのかかわりがライトモチーフのように繰り返し現れるのだけど、書く前は、そんなに犬が全面に…

●『狼の群れと暮らした男』(ショーン・エリス+ペニー・ジューノ)という本を読み始めたのだが、すごく面白い。まだ半分くらいしか読めてないけど。ロッキー山脈の森に生息する野生の狼に、その群れの一員として受け入れられた人間の話。狼少年のように狼に…

●『台風クラブ』の演劇部のメガネの女の子(みどり)の役の人が、『少女革命ウテナ』の姫宮アンシーの声をやっていたのだと(下にリンクしたブログにある細田守の発言で)知って驚いた。『台風クラブ』を観た人ならわかると思うけど、みどりは出番は多くはな…

●「日経サイエンス」三月号の特集「量子ゲーム理論」を読んだ。 http://www.nikkei-science.com/201303_030.html まあ、全体としてざっくりした紹介記事でしかないのだけど、とはいえ、ここでは、量子論的な論理が「物理学」の問題としてではなく、我々が普…

●お知らせ。3月8日(金)に渋谷のアップリンク・ルームで行われる「コラボ・モンスターズ!! の魔」(特集“高橋洋”)にトークゲストとして参加します。 http://collamon.jugem.jp/?eid=167 高橋洋監督の『旧支配者のキャロル』『おそらく悪魔が』『続・おそ…

●お知らせ。明日、25日付けの東京新聞、夕刊に、原美術館でやっている「MU」(ペドロ・コスタ、ルイ・シャフェス)展のレビューが載る予定です。ペドロ・コスタの作品にしか触れていないし、しかも半分は映画の話ですが…。 ●『たまこまーけっと』3話。…

●話題になっている、pixivで公開されている『のび子ちゃん』(ごま)を読んだ。いろんな意味でよくできている作品だと思った。しずかちゃんが失恋する場面で、背景の「土管のある空地」がマンション建設予定地になっているところとか泣ける。 http://ww…

●CERNのLHC(ラージハドロンコライダー)がオーバーホールのために二年くらいシャットダウンされるという記事をみつけた。ダークマター、重力はなぜこんなに弱いのか、余剰次元、他宇宙についてなどの疑問の探求への備えとして。 http://www.guardian.co.uk/…

●楳図かずおの『14歳』を一気読みしてしまい、あまりの強烈さと密度に呆然自失となり、何も手に着かない感じになった。この人、ほんとにすごい人なんだなと改めて思った。 この作品が連載されていた頃には楳図かずおは五十代後半だったので(ぼくは連載時に…

●ぼくは今、45歳なのだが、高校三年生でもあって(つまり、この年齢で高校に入り直していて)、しかもなぜか偶然にもそのクラスには、中学の時に同級生だった人が何人かいる。このことをそのように意識したとたん、それまで当然のこと(疑いようのない前提…

●引用、メモ。E・ヴィヴェイロス・デ・カストロ「内在と恐怖」(「現代思想」2013年1月号)から。 ここには、一つの自然(客観、もの自体)と、それに対する複数の文化(解釈)がある(多文化主義)というのではなく、「複数の自然」があるのだとする、いわゆる「多…

●今日はさすがに寒かった。 ●「現代思想」一月号のヴィウェイロス・デ・カストロ、とても面白い。 ●『ささみさん@がんばらない』、二話。冒頭で、一話で起こったことの内実とざっくりとした設定の説明がされるのだけど、それがいかにもありがちな感じなので…

●『流れよ我が涙、と警官は言った』をなんとなく読み返していた。ディックの小説にはだいたいどれも、女性へのグチや恨み辛みのようなことが延々書かれているという印象がある。そしてそれこそが、小説の基底にある基本的な感情なのではないかとさえ感じられ…

●『たまこまーけっと』2話。これすごいな。なにこのクオリティの高さ、と驚いてしまう。『中二病…』とは大きく異なった、デジタルエフェクトを最小限に抑えたフラットな画面の色彩設定の美しさにまず驚く。この色彩は『ピングドラム』を超えてるかもとさえ…

●大島渚が亡くなったそうだ。ぼくにとってのベスト3は、『帰ってきたヨッパライ』、『無理心中日本の夏』、『日本の夜と霧』、ワーストは『新宿泥棒日記』。高校生の時に一度観たっきりで、強く印象に残っていて、ぜひもう一度観たいと思っているのが『東京…

●いろんなところで大雪みたいだけど、ぼくが住んでいるところでは、強風が吹き荒れてはいるものの普通に雨で、やはりこのあたりは暖かいのかなあと思った。前に住んでいたアパートのあたりではきっと雪が積もってすごいことになっているのだろうと想像する。…

●ぶらっと桑山忠明を観に行ってしまった。できることなら、ふと気づいたらもう終わっていた、ということにならないかと思っていたけど、そうはならなかった。引っ越して、葉山は割と近くなったし、天気もよくあたたかい日だったので、ふと思い出してしまった…

●メイヤスー「減算と縮約」(「現代思想」1月号)を読んだ。まだ、ざっと一回読んだというだけだけど、(「形而上学とエクストロ-サイエンスフィクション」もそうだったけど)メイヤスーの書く文章は明快ですごく分かりやすい(訳文のおかげもあると思うけど)。何…

●スポーツの中継を、そのルールも目的も分からないままで観ている。多くのプレイヤーがいて、それぞれが異なる役割、目的で動いているようにみえ、全体でとても複雑なフォーメーションが形作られているようにみえる。しかし、しばらく見ているうちにふと、そ…

●昨日はいろいろ美術館をまわった。ずいぶん久しぶりに原美術館にも行った。ルイ・シャフェスという人の彫刻はぼくにはよく分からなかったけど、ペドロ・コスタの映像インスタレーションはちょっと面白かった。というか、ペドロ・コスタが撮っている映像はも…

●昨日の樫村晴香の講演のタイトルは「この20年の思想を思想化する」というものだったけど、内容的には「20年」じゃなくて「2000年」という話で、この2000年くらいの間に人類が蓄積してきた文化的な(あるいは精神的な)土壌のようなものがウソの…

●樫村晴香の講演を聞きに京都へ。新幹線といっても、小田原から各駅停車のこだまに乗ると京都まで三時間かかる。行きの新幹線のなかで、昨日ざっと読んだメイヤスー「形而上学とエクストロ-サイエンスフィクション」を熟読する。やはりすごくおもしろい。 こ…

●お知らせ。「新潮」二月号に、津村記久子『ウエストウイング』の書評(「媒介が思考し、関係が対話する」)を書きました。同じ津村さんの本で、前に「群像」に書いた『とにかくうちに帰ります』の書評(「関係のなかで関係が考える」)のつづきにもなってい…

●「現代思想」1月号の小泉義之+千葉雅也対談を読んだ。対談の前半部分を読んでいる時はずっとドイッチュの『世界の究極理論は存在するか』を、後半部分を読んでいる時は円城塔の『Self−Reference ENGIN』を思い出していた。以下は対談の…

●弟は一歳を過ぎたばかりの子供を置いて九月からアメリカへ単身赴任していて、行ったばかりで忙しいらしく正月にも帰ってこられない。奥さんや子供の顔は毎週末にスカイプで見ているという。こちらの時間で土曜の昼くらいの時刻は、あちらでは金曜の午後十時…

●12月に撮った写真。その2。

●12月に撮った写真。その1。

●平坦な地面がずっとつづく土地にとってつけたように唐突に小さな山がこんもりとある。山の稜線のところにカラスが集まっている。空はまだ明るいが太陽はもう隠れている。群れに向かって遠くから、一羽、二羽、三羽と、さらにパラパラ集まってきて数が増して…