2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2020-10-31

●『全体主義の克服』(マルクス・ガブリエル・中島隆博)は、新書で対談本なので、そこまで突っ込んだ議論がなされているわけではないが、しかし、『なぜ世界は存在しないのか』だけでは充分にはみえていなかった、マルクス・ガブリエルの過激な部分やルーツ…

2020-10-30

●『全体主義の克服』(マルクス・ガブリエル・中島隆博)をパラパラ読んでいたら、マルクス・ガブリエルが、ハーバーマスとハイデガー(特にハイデガーだが)について衝撃的な告発をしていて、そんなことが書かれている本だとは予測していなかったので不意打…

2020-10-29

●世界があまりに殺伐としているように感じられるなか、マティスの「私の芸術は知的労働者のための安楽椅子でありたい」という発言の重要性について考えている。いまこそ、「知的労働者のための安楽椅子」が必要な時なのではないか、と。死なないためにも。 …

2020-10-28

●『たまこまーけっと』と『たまこラブストーリー』の音楽を、最近亡くなったインスタントシトロンの片岡知子がやっていたことを今になって知った。吉田豪が「渋谷系はアニメのなかに生き続けている」みたいなことを言うのは、こういうことなのか。 「もち蔵…

2020-10-27

●ユリナジアのダンス動画で、知らなかったミュージシャンを知る。その三。 yurinasia. : んoon https://www.youtube.com/watch?v=G0m_eGUtggw んoon - Summer Child | TOWER DOORS https://www.youtube.com/watch?v=8aP5uMGLl1Y んoon - Amber (Summer ver.)…

2020-10-26

●kojikojiという人。 せもたれ feat. Kojikoji, Akusa https://www.youtube.com/watch?v=3nD_46jkL-Y l o f i c h i l l // r e m i x (SUKISHA×kojikoji) https://www.youtube.com/watch?v=XOywfTMjtmI CAREFREE (feat. kojikoji) · lo-key design · kojiko…

2020-10-25

●宮野弦士とSAWAが一緒にやっている「7セグメント」というバンドがあるのを知った。すばらしい組み合わせ。 7セグメント - イビツな計画(LIVE) 2020.07.24 LIVE THEATER ORPHEUS https://www.youtube.com/watch?v=glmQKIdFzTY 都会の贅沢 7セグメント https:…

2020-10-24

●おそらく、もう7、8年くらい前になると思うけど、一度だけ、高橋洋さん、古澤健さんとトークイベント(というか、高橋さんの短篇の上映後のトーク)をしたことがあって、たまたま、その時のレポートをみつけて、改めて読んでみたらわりと面白かったので、ここ…

2020-10-23

●U-NEXTでヴェンダースの『東京画』を観ていた。83年に来日した時に撮ったフィルムでつくった映画。この頃、ヴェンダースは「西ドイツ」の映画作家だった。 ここでヴェンダースが撮っているのは、小津関係のインタビュー(笠智衆・厚田雄春)以外では、パチン…

2020-10-22

●『藝人春秋2』(水道橋博士)に書かれていた、三浦雄一郎の臨死体験(?)が興味深かったのでメモ。 1970年、エベレストと世界第四位の高峰ローツェの間にある、サウスコルと呼ばれる標高約8000メートルの鞍部からスキーによる滑降を試みた時、乱気流と氷壁にバ…

2020-10-21

●近所のコンビニのレジが様変わりしていて、店員はただ商品のバーコードを読み込むだけで、客側にあるタッチパネルで、客が自分で支払い方法を選択し(現金、カードなど)、お金を入れると、レシートとおつりが自動的に出てくるという仕様になっていた。最初、…

2020-10-20

●濱道拓「追いつかれた者たち」(新潮)についてもう少し。この小説は、四組の二人組によって成り立っている。最初に出てくるのが、斉藤と田宮のペアで、この二人を支配するのが、千堂と陣内というペア。事件に巻き込まれるのが三島と女(名前が無い)のペアで、…

2020-10-19

●『霊的ボルシェヴィキ』(高橋洋)は、先鋭的な霊的カルトグループが性急に「あの世」との接触を求めて失敗する話といえるが、ぼくにとってリアルなのは、その裏に流れている「わたしの入れ替わり」という主題の方だ。 (「映画」としてのこの作品のすばらしさ…

2020-10-18

●仙田学「剥きあう」(文學界)。女装する男性の話。 (今年になって読んだ小説で「女装」をモチーフにしたものは他に、『クロス』(山下紘加)と『ファルセットの時間』(坂上秋成)があるが、どれも興味深いものだった。) この作品において「女装」する男性は、(…

2020-10-17

●今月の文芸誌の「新人」の小説は、「強い」「濃い」作品が多くて、ややおとなしい感じがしてしまうのだが、井戸川射子「ここはとても速い川」(群像)もよかった(「新人小説月評」では一、二行の雑なコメントしかできないけど)。前作の「膨張」をあまりよいと…

2020-10-16

●「追いつかれた者たち」と同時に新潮新人賞となった「わからないままで」(小池水音)。この小説には固有名が出てこなくて(おそらく唯一出てくる固有名がソン・ガンホだろう)、例えば、同じ人物が場面に合わせた関係性によって、その都度、男、父、弟、夫など…

2020-10-15

●「追いつかれた者たち」を書いた濱道拓の新潮新人賞受賞インタビューが興味深い(「新潮」2020年11月号)。まず、小説が書かれた経緯を教えてくださいという問いの答え。 《4年ほど前に見た夢が始まりでした。自分が、誰かを廃屋のような場所に閉じこめて、追…

2020-10-14

●濱道拓「追いつかれた者たち」(新潮)。これはすごい。圧倒された。妙な表現になるが、「阿部和重以降にはじめて可能になる中上健次」という感じ。あるいは、ドストエフスキー原作の『牯嶺街少年殺人事件』というか。 過去に、地方の(郊外の)不良少年たちが…

2020-10-13

●部分。

2020-10-12

●文藝賞を受賞した「水と礫」(藤原無雨)を読んで、文章がうまいと思った。具体的に言うと、フレーズの作り方と重ね方がうまい、と。フレーズを作り、重ねる巧みさだけで世界(フィクション)を立ち上げられるというか、フレーズによって言葉に根拠と説得力をも…

2020-10-11

●大前粟生「おもろい以外いらんねん」(文藝)。「早稲田文学」の「笑い」特集号に載っていた短篇「バスタオルの映像」が、こういう形(ある意味、まっすぐな青春小説と言える)に発展するとは思ってなかった。とても面白い。 この小説では、視点人物として咲太…

2020-10-10

●すばる文芸賞の「コンジュジ」(木崎みつ子)、読むのがとてもきつかった。読むだけでこんなに辛いこの話を、最後まで書き切った作家はすごいと思う。受賞者の言葉やインタビューを読むと、タイトルと書き出しを書いてから、まる四年の間、一行も書けなかっ…

2020-10-09

●欠点と可能性というのは、ほとんど同じ位置にあり、また、美点と限界というのも、ほとんど同じ位置にあるのではないかと思う。 ●今月の「新人小説月評」は対象作が17作もある。2200字でそれを論じるには、一作当たり平均で約129字しか使えない。大半の作品…

2020-10-08

●昨日観た『わたしのSEX白書 絶頂度』(曽根中生)で、芹明香、益富信孝、村国守平の三人がすき焼きの鍋を囲んでいる場面(やきもちを焼いた芹明香が益富信孝の頭に鍋の具材である野菜をぶちまける)を観ていて、『ツィゴイネルワイゼン』(鈴木清順)で、大谷直子…

2020-10-07

●U-NEXTで『わたしのSEX白書 絶頂度』(曽根中生)を観た。高校生の時に読んだ『シネマの記憶装置』でこの映画の存在を知ったのだが(手元にある本には、一九八五年二月二十五日第五刷と書かれている)、実際に観ることが出来たのはそれから十年以上あとになって…

2020-10-06

●聞き流すように聞いていたNHKのニュースが告げるノーベル物理学賞受賞者のなかにペンローズという名前があり、このペンローズはあのペンローズなのかと思ったら、あのペンローズだった。 受賞の理由は、「一般相対性理論」から「特異点」の存在を導出したこ…

2020-10-05

●U-NEXTで『夢野久作の少女地獄』(小沼勝)を観た。面白かった。終盤の復讐(を受けての大人=男たち狼狽)の描写が、類型的に感じられややテンションが下がるのだが(とはいえ、そう感じてしまうのは、洗練され過ぎた現代のJホラー表現に慣れてしまっているから…

2020-10-04

●U-NEXTで『黒薔薇昇天』(神代辰巳)。久々に観たけどすばらしかった。 いかにもやっつけ仕事のようないい加減な脚本と、奇跡のようにすごいショット(シーン)の数々。緻密に、完璧に作り込まれた、ということとはまったく別種の「すごさ」。映画としての形式…

2020-10-03

●(昨日からちょっとつづく)『女地獄 森は濡れた』(神代辰巳)で中川梨絵は、自然ではない、人工的で変な調子でセリフを喋るし、セリフのトーンが途中で何度もころころ変わる。そして、これはこの作品の独自の質を成り立たせるために必然的なことのように思わ…

2020-10-02

●U-NEXTで、にっかつロマンポルノの作品の配信が大量に追加された。神代辰巳や田中登、曽根中生、小沼勝などの、有名だけど観そこなっていた作品もけっこう観られるようになった。 で、『女地獄 森は濡れた』(神代辰巳)を観た。一応、サドの「ジュスティーヌ…