2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2022/02/28

●『逃げた女』(ホン・サンス)の感想をネットでみていると、「(1)俳優の演技が自然でまるでその場に立ち会っているようだ」という人と、「(2)スタジオで俳優が演技しているところを撮っているようで全然入り込めない」という人がいて、面白い(それと、「何が…

2022/02/27

●『逃げた女』(ホン・サンス)をU-NEXTで観た。ホン・サンスすごい。同じような映画ばかりつくっているようでいて、毎回ちゃんと新しい。そして、どんどんシンプルになって、しかもめちゃくちゃ面白い。監視カメラの映像をそう使うのか、とか、猫をこんな風に…

2022/02/26

●「自分の頭で考える」ことの危険性、ということを考えざるをえなくなっている。独自の鋭い嗅覚をもって、自分の頭で考えることの出来る知性を持つ人が、陰謀論に墜ちていく例を見るにつれて。 反権威主義的な傾向(あるいは、逆張りを好むような傾向)という…

2022/02/25

●ネットに貼り付いてずっとニュースを追いかけていても何にもならないし、むしろ悪い依存みたいになる。90歳を超えたゴルバチョフが、この事態をいったいどんな気持ちで見ているのだろうか、とか考える。91年になくなったはずのソ連の亡霊がまだ生きていて、…

2022/02/24

●『オールド・ジョイ』(ケリー・ライカート)をU-NEXTで観た。なんと大胆な映画だろうか。二人のおっさんと一匹の犬がピクニックに出かける。二人の間には決定的な距離があり、しかし、それでもギリギリのところで、共にいるという親密さが二人の関係を繋いで…

2022/02/23

●『天国にちがいない』は、見る人(エリア・スレイマン)と、見られる対象(世界)との切り返しが基本となる。それはつまり、映画の半分は「見ているスレイマン」を見ることでもある。そこでスレイマンは、これといってはっきりしたリアクションをとることがほと…

2022/02/22

●『天国にちがいない』(エリア・スレイマン)をU-NEXTで観た。二度目。これは本当に最高だ。好き、嫌いという基準でなら、少なくともここ数年で観た映画のなかではダントツで一位だろう。しかし、何がどう良いのかを言語化するのは難しい。難しいし、あまり言…

2022/02/21

●昨日観た『感じるつちんこ ヤリ放題! 』(2017年)がすごかったのだが、監督がいまおかしんじで、脚本が守屋文雄というコンビは、もしかすると『おじさん天国』(2005年)以来なのかと思って調べたら、あいだに『UNDERWATER LOVEおんなの河童』(2011年)があった…

2022/02/20

●『感じるつちんこ ヤリ放題! 』(いまおかしんじ)をU-NEXTで。凄いタイトルだ。 いまおかしんじの今の作風がこういう緩い感じというのは分かってはいるが、それにしても、これはあまりに適当でやる気がなさすぎるのではないか、と、観始めたばかりの時は思っ…

2022/02/19

●昨日の日記の最後で、『ドライブ・マイ・カー』で西島秀俊の死んだ娘と三浦透子が同じ年齢という設定にすると、二人の関係が代理的な父娘のようになってしまって安易ではないかということを書いたのだが、考えてみると、西島が父親ポジションに立とうとする…

2022/02/18

●『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介)をU-NEXTで観た。これは評価が高くて当然だと充分に納得できる作品だった。おおーっ、と、興奮して前のめりになる感じではないが、なるほど、なるほど、なるほど…と、観ている間じゅう「なるほど」がどんどん積み上げら…

2022/02/17

●『さらば箱船』(寺山修司)をアマゾンプライムで観た。82年に製作され、寺山の死後、84年に公開された。助監督に榎戸耕史がクレジットされている。昨日の日記で書いた『草迷宮』に比べると、格段にかまえが大きくなり、野心も大きくなっている。 基本的に、…

2022/02/16

●英語字幕つきの『草迷宮』(寺山修司)がYouTubeにあったので観た(著作権をクリアしているのか分からないのでリンクは貼らない)。1978年フランス製作の映画。相米慎二が助監督としてクレジットされている。 おそらく、初期の短篇から『田園に死す』までの寺山…

2022/02/15

●お知らせ。「エクリ」に、VECTIONとしては二つ目の論考「権力分立と希望の幾何学 多様性ジャンケン・センサー計画経済・三権分立」が掲載されました。 https://ekrits.jp/2022/02/4783/ これは、この後もまだ長くつづく「望ましい権力分立のあり方」につい…

2022/02/14

●『夢の涯てまでも【ディレクターズカット版】』を観た勢いで、久々に『まわり道』をU-NEXTで観た。面白かった。 まず、ここまで徹底して暗い顔をして鬱々とした人ばかりが出てくる映画は、最近はあまりないのではないかと思う。暗い人たちが、暗い顔をして…

2022/02/13

●『京騒戯画』の第0話「予習編」がYouTubeで観られる(U-NEXTなら全話観られる)。このアニメ、放送からもう十年以上前になるのだな。 https://www.youtube.com/watch?v=5IqFukYQAAU 面白いのは、コメント欄に、《頭の片隅にある思い出せないアニメ、ただの夢…

2022/02/12

●Netflixで『地球外少年少女』の4話から6話。後半で急速にSF的なかまえをぐっと大きく広げたかと思うと、その広がったかまえも素早くパタパタときれいに折り畳まれていき、最終的には「少年少女よ希望をもって未来にすすめ」みたいな健全な落としどころに収…

2022/02/11

●U-NEXTで『夢の涯てまでも【ディレクターズカット版】』(ヴィム・ヴェンダース)が観られることを知って、観た。この4時間47分バージョンは、2015年に、様々なバージョンがあるこの作品の決定版としてつくられた、と。日本で普通に観られた2時間48分バージョ…

2022/02/10

●Netflixで『地球外少年少女』を3話まで観た。観ていて思ったのは、これは未来の話ではなくて「現代」の話なのだな、ということだ。『電脳コイル』が、「ノスタルジックなファンタジーを成立させるために未来的なガジェット(技術環境)が用いられる」という、…

2022/02/09

●神奈川県立図書館で、こちらが送料を負担すれば、ネットで予約した本を郵送してくれるというサービスがあることを知った。近くの市立図書館にはなくて、高価で手の出ない本を何冊か借りた。 そのうちの一冊、『鈴木清順論 影なき声、声なき影』(上島春彦)の…

2022/02/08

●(一昨日、昨日からのつづき)存在を存在たらしめるものである「外部」は、内部にある窪み(空隙)に偶発的に充填されることによってしか姿をあらわさないものであり、その姿はその都度異なる具体性をもつだろう。カニッツァ図形では、窪みを持つ複数の円(パッ…

2022/02/07

●(昨日からのつづき)存在(現存在)とは異なる「存在」、「存在を存在たらしめているもの(存在者)」を問題にするということは納得できる。死と再生について考えるというのは、そういうことだろうと思う。ただ、ぼくはこれについてハイデカーの「言い方」で考え…

2022/02/06

●保坂和志「小説的思考塾 vol.6」、テーマは死と再生について。話の本題とはズレるが、保坂さんが平行モンタージュの話をしているのを聞いて、『ほしのこえ』(新海誠)のことを考えていた。 たとえばチェーホフの「学生」で、神学生の若い男が聖金曜日(キリス…

2022/02/05

●お知らせ。VECTIONのnoteもぼちぼち更新しています。 https://note.com/vection 遺された音声データとスライドによる柄沢さんの発表を視聴した(シンポジウム「感覚の拡張と新しい美学」)。 https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20220205/ ●柄沢さんが公の場…

2022/02/04

●現状で柄沢さんの作品の可能性を深く理解し、明確に記述しているのはエリー・デューリングではないかと思う。柄沢さんの作品集に収録された「脳に反して思考する:アルゴリズム空間のパフォーマンスについて」は、過去30年におよぶアルゴリズムデザインの二…

2022/02/03

●柄沢祐輔さんが亡くなったことを知る。なんというのか、あの柄沢さんがもういないのだという事実をうまく受け止められない。 柄沢さんとはじめてお会いしたのは、清水高志さんのお誘いで参加した中沢新一『フィロソフィア・ヤポ二カ』の読書会だったと思う(…

2022/02/02

●配信がもうすぐ終わってしまうので、『本陣殺人事件』(高林陽一)をU-NEXTで観た。角川がメディアミックスで横溝正史を売り出すより前に、ATGでつくられた高林陽一の商業映画第一作(市川崑の『犬神家の一族』が1976年で、この作品は1975年なので、この映画が…

2022/02/01

●「豪の部屋」の、しののめしなの回。しののめしなのが映画にハマるきっかけが父から教えられた『仁義なき戦い』だったというのがとてもよい話。父と母は離婚していたが、父とは頻繁に会って、一緒に映画を観たり、読んだ本の話をしたりしていた。小四の時に…