2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2023/02/28

●「人類最後の贈与」(樫村晴香)を読んだことで刺激されて、古い「ユリイカ」を引っ張り出してきて「Quid? ソレハ何カ 私ハ何カ」を読んだ。 スピンクスはオイディープスの「欲望」ではなく、彼の外にあり、(抑圧されたものの回帰ではなく)無関係な両者が偶然…

2023/02/27

●昨日の日記で引用し忘れた重要なところ。樫村晴香「人類最後の贈与 オイディープスとスピンクスの邂逅」より、スピンクスの「問い」について。 《スピンクスの問いから瞬時に伝わるのは、この問いが「時間」を問題にし、しかも時間を「時間の固化/停止」と…

2023/02/26

●樫村晴香「人類最後の贈与 オイディープスとスピンクスの邂逅」(「群像」2023年2月号)を、ともかく、一度通読した。樫村さんがスピンクスについて直接言及するのは、おそらくはじめてではないか。 ここで問題となっているのは、スピンクスそのものというよ…

2023/02/25

●冬の間も、よく陽の出ている日には、厚着をして、寒いのをやせ我慢してでも、かなり長い時間、窓を開け放して過ごした。外から風が入ってくるのも、遠くからの音が入ってくるのも心地よく、寒さを我慢するだけのかいはある。しかし逆に、暖かくなってくると…

2023/02/24

●『アフター・ヤン』(コゴナダ)をU-NEXTで。うーん、これどうなんだろうか。ひたすら美しいが、美しいだけという感じでもある。ここまで美しければそれはそれで立派なものだとは思うが、途中で一つは何かがあるのだろうと思っていたら、ほぼ、何もないまま、…

2023/02/23

●『脱獄計画(仮)』の背後には、ビオイ=カサーレスだけでなく、ベケットやクロソウスキーへの参照があり、それらの名は戯曲に書き込まれてもいるし、上演からも感じ取ることができる。しかしそれだけでなく(昨日の日記にもちらっと書いたが)、終盤に、唐突に…

2023/02/22

●こまばアゴラ劇場で、Dr. Holiday Laboratory『脱獄計画(仮)』。18日の日記で、戯曲『脱獄計画(仮)』について、「フィクション内フィクション、フィクション内現実、その外=現実という3つの層」があるが、それらは階層構造をなすのではなく、「互いに互い…

2023/02/21

●プライムビデオで『洲崎パラダイス 赤信号』(川島雄三)。ひたすら素晴らしい。三橋達也が最高。 最後の方で、蕎麦屋で芦川いづみと新珠三千代が相対する場面(BGMが「かわいい魚屋さん」)がグッと心にくる。それまで、三橋達也がカタギになることの方に心が…

2023/02/20

●プライムビデオで『雪夫人絵図』(溝口健二)。溝口の映画は基本的に、極めて通俗的で典型的な悲劇が、映画という媒体を得ることでまったく異なる表現の質を獲得してしまうという凄さだと思うが、その「異なる質」を可能にするのが空間の表現で、そしその空間…

2023/02/19

●思いつき。これはかなり捻ったというか、逸脱した読み方になってしまうが、もし、ハーマンの中に「断絶」を強くみるのだとしたら、オブジェクトAとオブジェクトBとの関係、あるいは、実在的オブジェクトと感覚的オブジェクトの間の関係にみるのではなく(そ…

2023/02/18

●戯曲『脱獄計画(仮)』(山本伊等)を読んだ。すごく面白かった。最後の方など、文字を追いながら状況を把握するのが大変で、これが実際に上演されたらどんなすごいことになるのかと思った。 戯曲の一部(と言っても、半分弱くらいある)は無料で公開されている…

2023/02/17

●Dr.Holiday Laboratoryの「脱獄計画(仮)」を観に行く予定なので、原作の『脱獄計画』を久々に読んだ。面白かった。ビオイ=カサーレスのエッセンスがギュッと詰まったような小説だと改めて思った。 drholidaylab.com ●前に読んだのは15年前だった。 furuyato…

2023/02/16

●『モノたちの宇宙』(スティーヴン・シャヴィロ)の第三章「モノたちの宇宙」にかんして、昨日の日記を書いていた時点では、次のような記述にひっかかっていた。 《(…)もしぼくが人間の主体について理解するのと同じ仕方で他の存在者について考えなければなら…

2023/02/15

●『モノたちの宇宙』(スティーヴン・シャヴィロ)の第三章「モノたちの宇宙」を読んで、ここでシャヴィロが「美(美的なもの)」と言っているものと、「唯物論では解決にならない」でハーマンが「形式」と言っているものが、ほとんど重なるように思った。要素(…

2023/02/14

●『モノたちの宇宙』(スティーヴン・シャヴィロ)を読み返しているのだが、この本、こんなに面白かったっけと驚くくらい面白い。 例えば第二章「活火山」において、関係主義としてのホワイトヘッドと、実在主義であるハーマンとを、極めて近い問題意識を持ち…

2023/02/13

●ハーマンは、「実在的オブジェクト」と「感覚的性質」のあいだにある緊張関係に「空間(space)」という名を与えているのだが、なぜ「空間」なのかいまひとつ飲み込めなかった(以下、引用は図も含めてグレアム・ハーマン/飯盛元章訳「オブジェクト指向哲学の7…

2023/02/12

●引っ張り出してきて改めて読んだ。 https://researchmap.jp/motoaki_iimori/misc/23924100 ●バカラック、ポピュラーソング。ピンポンパンで歌われていた「レインドロップス」の詞ははっきり頭に残っている。「Raindrops Keep Fallin' on My Head」のメロデ…

2023/02/11

●今更、本当に今更なのだけど、エイフェックス・ツインが素晴らしくて聴き入ってしまう。 Aphex Twin - Petiatil Cx Htdui - YouTube AFX (Aphex Twin) - 4 Red Calx [slo] - YouTube Aphex Twin / AFX - 2 Fogbeak - YouTube Avril altdelay - Aphex Twin -…

2023/02/10

●思いつきメモ。ハーマンは、還元主義(下方解体)によっても、関係主義(上方解体)によっても、オブジェクトが汲み尽くされることはないと言う。ただ、これだけだと、「もの自体」は汲み尽くせない(相関主義)と言っているのと変わらない(だからこそ、ハーマン…

2023/02/09

●イメージは、どう読まれるのか。つい最近のことだが、中国の人民服をイメージしたと広く言われている「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のジャケットで見られるYMOの初期の赤い衣装について、デザインした高橋幸宏がそれを否定していることを今更知っ…

2023/02/08

●インスタグラムにアップしている写真は、1989年くらいから現在まで、折りに触れて撮っている大量の写真の束の中から、その都度で適当に選んでいるものなのだが、今まであげた二百数十枚をダーッと流して見てみたら、死の前のいわゆる「走馬灯」ってこういう…

2023/02/07

●BGMみたいなのが流れていると、そっちに耳が取られてしまって気が散ってダメなのだが、例外的に、最近はずっとこれを流しっぱなしにしている。とはいえ、ビル・エヴァンスの「Peace Piece」とエイフェックス・ツインの「Nanou2」はとりわけ好きなので、そこ…

2023/02/06

●昨日からのつづき。マリリン・ストラザーン「歴史のモノたち」(「現代思想」2016年3月臨時増刊号)から、引用、メモ。 ●イメージとコンテクスト(サバ―ルの石斧) 《(…)コード化は象徴を構成する諸部分を指示し、ゆえにそれが他の象徴ともつ関係を指示すること…

2023/02/05

●『不穏な熱帯』(里見龍樹)で言及されていたマリリン・ストラザーン「歴史のモノたち」(「現代思想」2016年3月臨時増刊号)を読んだ。前に読もうとした形跡がある(書き込みが途中まである)が、その時は断念したようだ。確かに、『不穏な熱帯』に書かれていた…

2023/02/04

●『闇の中のオレンジ』(天沢退二郎)。おそらく小学生の頃以来に読み返した。予想以上に面白かった。 『オレンジ党と黒い釜』は、新刊として出た直後くらいに図書館で借りて読んで夢中になったのだが、その時点で図書館の児童書コーナーにあった天沢退二郎の…

2023/02/03

●YouTubeで「天沢退二郎」で検索したら、とてもとても良い動画が見つかった。公園でくるくるまわり、草っ原の道を自転車でいく天沢退二郎(背景の野放図に伸び放題の草がまさに天沢的)。60年代の詩的伝説とかカリスマとか言っても、「伝説」感も「カリスマ」…

2023/02/02

●切れ切れになってしまったが、『不穏な熱帯』(里見龍樹)、ようやく最後まで読んだ。すごく面白かった。近代的な「自然/文化(社会)」という二分法、そしてその展開形としての「多文化主義・文化相対主義(唯一の自然に多数の文化)」を乗り越える方途として、…

2023/02/01

●目が覚めて、まだあと一時間は眠っていられると思って二度寝した時に夢を見ることが多い。というか、そういう時の夢は、起きてからも憶えていられることが多いということだろう。 ●何か重要な用事(大切な頼まれごと)があってある医者を訪ねる。川沿いの土手…