●huluに、アニメ『クイズとき子』さんの25話〜28話(一話二分くらいだけど)が新着としてあがっていたので観たら、勢いがついて止まらなくなってしまい、つづけて、原作(というか、原作者による朗読つき絵コンテ動画のようなもの)を30話まで観てしまった。
アニメの28話までの展開は、原作動画では14話くらいまでだから、かなり先まで観てしまったことになる。どちらかというと、原作者による「語り」の調子(アク)が強く出ている原作動画よりも、シンプルにすきっとまとめてあるアニメ版の方が好きなので(原作動画も、それはそれで味があるけど)、アニメ版の遅い展開に我慢してついて行こうと思っていたのだけど、先を観たいという気持ちを抑えられなかった。
(原作者の朗読つき動画の方は、67話までアップされていて、おそらくまだつづいている。こちらの方はすべて無料で観られる。)
https://chuun.ctv.co.jp/program/11
ゆるくて気楽な、企画もののショートアニメだと思って観はじめたのだけど、どんどん深みにはまっていくような、間口が狭くて小っちゃい店だと思って入ったら、奥にどこまでものびて広がっている迷宮が待っていた、というような、予想外の大長編という趣きの作品だ(実際の「長さ」以上に、展開が小刻みであることによって、まだ先が、まだその先が、そのまだ先が…、とちょっとずつ付け加えられてゆきつづけることによって、広がりと深さの印象が形作られている)。日常系と言えるのだろうけど、ゆるふわでもなく、あるあるネタ的(共感系)でもない。シュールではなく、過度に病的な歪みもなく、世界は(というか、問題となっている出来事そのものは)あくまで(どこにでもあるような、と言ってもいい)リアリズムの範疇に収まっているのだけど、そこに独自の世界が構築されている。
飄々とした軽やかさと、ちょっとした世界の歪みと、ずっしりとメンタルにダメージがくる重さとが同居していて、面白いのだけど、面白がって先が気になるというより、気軽に足を突っ込んだら抜けられなくなってしまった(そして予想以上に重い)という感じ。重たいのにとりとめがないというか、重力が強く作用しているにも関わらず、とりとめのなさが効いているというのは、稀有なことだと思う。
(回想によって時間が迷宮的に進展していくような、そして、とごに向かっている話なのか進行方向を見失ってしまうような、順列的ではない展開のあり様が、ちょっと『進撃の巨人』に似ているようにも思われる。)
原作動画で30話までの展開を観た現時点で言えば、これはたいへんにすごい作品に突き当たったのではないかと思うのだけど、ちょっとでも外れると陳腐になってしまいそうな、ギリギリの綱渡りのようなラインを描いていることによる面白さが命の作品なので、この面白さがこの先も持続しているのかは、先を観てみないと分からない。だからこそ、余計に先が気になってしまうのだけど。