6/20(火)

●駅と駅との間に新設された新しい駅の周辺。まだ人家は全く建っていなくて、区画ごとに金網で囲まれた整地された土地には、背の高い青々とした雑草がびっしりと生えている。ほとんど風がないので、雑草は静止したまま。空き地たちを区切るような道路だけは目新しく立派に整備され、人気のない道路には、工事用のトラックが土ぼこりをたてて通っているだけだ。ぼくはそれを、はしっている電車の窓からみている。

その次の駅(ここにはいくつかの大学があるので、乗降客が多い)のホームとその外を隔てる金網の外にも、黄緑色の葉をめいっぱい繁らせた雑草が生えて、編みに絡み付いている。草の影がホームにおちている。その向こうには、線路に沿うように家が並んでいて、ベランダに布団が干している。白いシーツに光が反射してまぶしい。電車のドアが閉まって、発車する。窓の外の風景が移動する。冷房が効いている。

●建物の外に置いてある洗濯機のフタの部分には、土ぼこりがびっしりと付着している。ホースは黒ずんでいる。その脇には、錆び付いた1斗缶が置かれていて、なかには濁った水がたまっている。淀んだ水のにおい。水分を吸い込んでかたちの歪んだ木製のサッシ。細長い発砲スチロールに土を詰め、そこに植物を植えている。それが何個も並んでいる。地面に落ちる前に、蜘蛛の巣にひっかかってしまった枯れ葉が、吊られたままで、風に舞ってくるくるまわっている。それらのものに目をやりながら歩く。