6/28(水)

とても色の淡い、ほとんど白にちかい紫陽花の花。つよい雨、つよい風。風にあおられて、街路樹の葉が「掌を返す」ような感じでヒラヒラと裏返っていく。次々とひるがえる沢山の掌たち。風に飛ばされた、千切れて枝から落ちた葉っぱが、靴に貼り付いた。

ぴん、と張られた傘の布に、大粒の雨が次々と当って、乱打された太鼓みたいな、低く響く音、ランダムなリズム、だだだだだ、だ、だだ、だだだ。

アスファルトの地面に当った雨粒が、砕けてから、随分高くまで跳ねあがっている。

緑地へと降りてゆく道には、細い水の流れが下の方へ向かって流れている。視界に入るかぎりのきまぎまな種類の緑色した葉っぱが、それぞれに異なる振幅、それぞれに異なるスピードで、それぞれに異なる軌跡を描いて、ごうごうとうなる風に揺れている。濃淡や質感の違うそれぞれの葉は、みな一様に表面が濡れて光沢をたたえて光っている。湿った空気のなかに、青臭い匂いが濃い濃度で満たしていて、それは匂うというより肌にまとわりつき、湿り気とともに表皮に付着する。

名前も知らない紫色の花のまわりに張られていた小さな蜘蛛の巣に、びっしりと小さな水滴がくっついていて、その水滴の重さで下へとしなって、Uのような形で垂れている。蒸し暑くて、歩くと汗ばむ。ぬるぬるした汗。