明け方、といってもまだ真っ暗な5時30分。カラスの第一声が聴こえた。
結局、寝ないでずっと音楽を聴いていた。無性に甘いものが欲しくなる。咽もカラカラに乾いていたので、紅茶に砂糖を入れて飲む。普段、ほとんど料理はしないし、紅茶やコーヒーに砂糖を入れたりもしないので、砂糖がなかなか見つからない。やっとのことで、マックからくすねてきた砂糖のスティックを見つけた。今、流れているのは、「 HEAVEN IS 10 ZILLION LIGHT YEARS AWAY 」この曲、すげーカッコイイです。何度聴いても。
うわっ、この紅茶、甘過ぎ。でも今は、こういうのが欲しかったんだけど。
6時過ぎてもまだ暗い。最近、日没はかなり遅くなった気がするけど、日の出はちっとも早くならないなあ。口のなかに、砂糖のベタベタ感がのこる。でも今は、こういうのが欲しかったんだけど。曲は「 CREERIN' 」に変わっている。うーん。そして「 YOU HAVEN'T DONE NOTHIN 」へと続く。(スティビー・ワンダー「 FULFILLINGNESS' FIRST FINALE 」)
前にも書いたけど、作品が少しづつ完成に近づいてくる、というのは、今まで漠然とした「 夢 」のようなものだったのが、徐々に、ミもフタもない現実としての姿を見せ始める、ということであって、それはそれでかなりキツいことなのだが、それでも、作品というのは、現実とは少し違った次元で成立するものでもあるのだった。
『伯母さんは、夢想にふけりながら同時に働く事のできる人だった。しかも、夢想のために仕事をおろそかにしたり、仕事のために夢想をいいかげんにしたりすることは、けっしてなかった。だから、伯母さんの夢想はちゃんと道理にかなっていたし、伯母さんの仕事ぶりは、やさしい夢のように軽やかだった。』(アンリ・ボスコ「 島の狐 」)
夢想が、ちゃんと道理にかなったものであること!!!!
神代辰己「 恋人たちは濡れた 」(たしか1974年)を観る。レンタルビデオ店で、この映画の推薦文が「 ジム・ジャームッシュストレンジャー・ザン・パラダイスの10年以上前に、日本映画はこんなにとんでもない青春映画をつくっていた。傑作です。」と書いてあったのには思わず笑ってしまった。たしかに両方とも女一人と、男二人の話ではあるけど、この映画とストレンジャー・ザン・パラダイスを並べるなんて、なんて大胆な。この推薦文を書いた人の、神代に対する強く熱い思い入れがビシビシ伝わってきて、すごくいい感じだ。
このビデオ店には、神代辰己の、にっかつロマンポルノ時代の作品がすごく充実していて、だから最近ぼくはそれをかなり纏めて観ているのだけど、そうしているうちに、すっかり中川梨絵という女優のファンになってしまった。中川梨絵という人は、70年代のにっかつのなかでも、それほどメジャーな人気があった訳でもないし、神代とのコンビとしても、伊佐山ひろ子や、宮下順子の方が有名だろう。でも、ぼくはすごく好きです。なんていうか、この頃のにっかつの女優に特徴的な、感傷的なというかウエットなところがなくて、サバサバしていて、ニュアンスが無い感じ。セリフの発声なんかもかなりガサツで一本調子で、訛り丸出しだったりもするけど、そういうところも含めてすごくいいです。身体の線の崩れ方なんかも、哀愁や情感を感じさせない、開放的な崩れ方(?)だし、もちろん、顔が素晴らしい。
恋人たちは濡れた 」という映画は、中川梨絵という人なしには、ちよっと成り立たなかったのではないか、と思う。要チェック。