午後から雨。花ちらしの雨。
雨にうたれた桜の花びらが、ぽろりぽろりと、少しづつ落ちてくるのを、しばらく立ち止ってみている。こぶしの木の、反ったような形の花びらも、木の下に濡れて散らばっている。はしり去る、黒い自動車の車体に、雨に濡れた桜の花びらが、びっしり貼り付いていた。
夕方、一度雨があがる。子供たちが外へでで遊ぶ。老夫婦の連れた犬が、円を描いて走りまわる。空も明るくなってきた。このままあがるのかと思ったら、急に、サーッと、カーテンをひくような感じで、再び強い雨が落ちて来る。強いけど、細かくて、音の静かな雨。雨樋から、落ちる水。雨があたる街灯。湯気がたっている。こういう雨は知らないうちに濡れる。
雨のため、誰もいない工事現場。張り巡らされたネット。その隙間から、縦横にびっしりと組まれた足場のための鉄パイプ。くすんだ光のなかでは、廃墟みたいに見える。くすんではいるものの、かすかに白い光を放っている曇り空へと、高く高くのびている、クレーン車のアーム。
グレーと、薄白いピンク色の日。夜中過ぎまでつよい雨。武満徹『ガーデン・レイン』などを聴く。
(昨日の日記に出てくるチンビラ風の男は、ヤクザというより、花見の屋台のテキヤだったのだろうな。きっと。)