とても蒸し暑い夏の日の午後

冷房を止めて、窓を開け放して、イスに座ったまま目を閉じて、頭を後ろに反らせて、うつらうつらする。肌の表面が、軽く湿り気を帯びる程度の暑さ、が、身体のまわりを漂っているのを感じながら。ときおり、いい風がすうっと入ってくる。蝉の声。車体をブルブルと震わせながら走っているような車の音が通り過ぎる。ヘリコプターのプロペラがパタパタと乾いた音で回転している。タイル張りの地面を踏みつけて行き来する人々の靴音。自転車のチェーンがカラカラいう音。

沸騰したお湯が吹きこぼれるかのようにたわわに、深い緑から黄緑色までの葉を木々は茂らせているのだけど、雨が足りないせいなのか、その葉の一部分が壊死して、枯れたような、まるで紅葉のような赤や黄色に染まってしまっている。氾濫し散乱する濃いい緑から黄緑色までのグラデーションのなかに、何かの間違いのようにポツリポツリと侵入している赤や黄の暖色の小さな塊は、何か炎症のようにも見えるし、遠くからだと、狂い咲きした花のようにも見える。衰弱というよりも、過剰なもののような感じ。