とても蒸し暑い夏の日の午後

午前中、炎天下のなかを散歩する。7月にはいったばかりという頃には、こんな暑さがまだ2ヶ月以上つづくのか、と、うんざりするばかりなのだけど、8月も半ばを過ぎると、この夏らしい暑さの日が、今年はあと何日あるのだろうかなんて、急に何かおしいような、この夏の陽気が貴重なもののように思われてくるのだった。今年の夏の、夏の陽気の、この感じを身体に記憶させてやるように、強くて、しかし不安定でやや濁った感じの光をモロに浴びて、汗だくになりながらも、ゆっくりと歩き、歩き回り、時間をかけてうろうろと散歩するのだった。(傾斜した道を登ったり降りたりする時に身体にかかる軽い負荷が、目から入ってくる強い光や影や濃く茂る緑、耳からの蝉の声、肌に感じる痛いほどにキツい日射しとジメジメした空気、などと混ざり合って、あるひとつの「夏」という感覚が合成され、身体のなかにジリジリ溜まってゆく。)

 昼間、あれだけ暑かったのに、夕方になって日が隠れると急激に暑さは弛み、涼し気な気持ちの良い風が吹いてきたりするのだった。