01/9/15(土)

それを観ていた時は疲れていたせいか流してしまったのだけど、後から思いだして恐ろしいと感じたのは、テレビでハイジャックの実行犯の1人が通っていたという航空学校の近くの人々へのインタビューをやっていて、そこで多くの人が、「彼らが笑っているところを見たことがありませんでした。」とか「奴等はモスクのなかで計画を錬っているんだ」とか答えていたことだ。これは明らかにイスラム教徒=何考えてるか分らない無気味な奴等、というイメージを流布するという効果を発するためのもので、今回のテロとは関係がない。世の中には「こういう事を好んで言いたがる奴」が存在することはぼくも知っているので、この言葉自体がどうこうという訳ではなく、問題なのは、このような答えばかりを選んで「報道する」という所にあるのだ。しかし、テレビとはいつもこんなことばかりをしているメディアで、いまさら急に目くじらをたてるのはおかしいと言うかもしれないが、こういう時だからこそ、そういう細かいことにいちいち文句をつける必要があるのではないだろうか。こういうのを見せられると、ブッシュ大統領の支持率が70%以上だという世論調査の数字も、それ一体どうやって集計したものなんだ、とアヤシク思ってしまう。仮にその数字が正当なものだとして、残りの30%近い人たちは何をしているのだろうか。ぼくが今までに観たテレビ報道のなかでは、アメリカの内部で「報復反対」「戦争反対」という運動が起こっている、という報道を見たことがない。もし、そのような声を挙げることが憚られるような、そんな奴はヒコクミンで許せねえ、みたいな空気が支配しているとしたら、あるいは、そのような運動は既にあるにも関わらず、そんなものは黙殺しておけ、報道するに値しない、という判断がなされているとしたら(なにしろ、世界じゅうで戦争に反対しているのはフセインただ1人だとでも言うような勢いで報道がされているのだ。)、アメリカが戦争までして守ろうとしている、自由や人権や民主主義や全ての人々に平等に与えられるチャンスとか言った理念は、既にアメリカの(アメリカの「同盟国」の)何処にもなくなっているということになってしまうのではないだろうか。