ある日のこと。

水色の空。うすい鱗雲。強い光。赤茶色が目立ってきた木の葉に、光が跳ねる。5、6歳の女の子を連れた家族連れ。短い坂道を上ってゆく。女の子がはしゃいで先頭を走りながら、地面を指さして、「上り」「下り」と大きな声をあげる。その後を父親がつづく。最後尾を歩く母親が笑いながら「ちがうよ、止まれって書いてあるんだよ」と子供に向かって言う。