ある日のこと。

アトリエからの帰り、ガラガラに空いた電車に乗り込み、どかっと腰を下ろす。発車までは、まだ数分ある。視線を上げると、丁度すぐ上にある蛍光灯が、チッ、カッ、...チッ、カッ、と点滅している。疲れた頭で、惚けたようにしばらくそれをぼんやり見上げていた。チッ、カッ、...チッ、カッ。何となく目が離せなくなる。チッ、カッ、...チッ、カッ。蛍光灯の点滅とは違ったリズムで、目を閉じたり、開いたりしてみる。

閉じた方のドアに蛍光灯の光が歪んで反射している、窓ガラスに半透明に車両の内部が映っている。目を閉じる、黒み、目を開ける、蛍光灯の光がパッと消える、目を閉じる、黒み、目を開ける、蛍光灯がパッとつく、そしてまた消える、目を閉じる、黒み....。