02/01/27

黒沢清の新作を観た、という「夢」を見た。『大いなる幻影』みたいな、低予算でつくられた90分弱の小さな映画で、素晴らしい傑作だった。どこかの家(普通の小さな一軒家。この家の外観を示す短いロングショットが素晴らしい。)に監禁されている主人公が、そこからの脱出に成功するシーンの、呆気無くも大胆な演出=段取り。その家の床下につくられた空洞のような空間の見事な造形。主人公に協力をする複数の、それぞれには無関係な人々が、皆、赤いシャツを着ていて、そのことで無言のうちに連帯を表明していること。(別にコミュニズムを暗示している訳ではない。)しかし、ちょっとした行き違いから、事態が一気に最悪の方向へ流れて行き、映画はみるみるうちに絶望を突き抜けて砂漠のような虚無感に呑み込まれてしまうという展開。そして、唐突に訪れる、全く人をくった、唖然とするしかないようなラスト。ハ、ハ、ハ、ハ..、という脱力した、空気が漏れているような笑いで締めくくられる。自主制作のようなノリでつくられた、「復讐シリーズ」みたいな映画だった。いや、「夢」なんだけど。