展覧会はじまります

●「展示のプランとか全然考えてなくて、会場に作品を持ち込んで、その場で作品を観て考えるのはいつものことなのだけど、」なんて昨日は余裕げに書いたけど、今度の展覧会の会場は、個展としては、今までぼくがやったところでは最もスペースが広いところで、実際に現場に作品を持ち込み、決してサイズが大きいとは言えないぼくの作品を、とりあえず会場の壁に立て掛けてバラバラと並べてみた時には、展示空間としてちゃんとまとめることが出来るのだろうか、と、ちょっと途方に暮れた。展示プランを前もって考えないというのは、ぼくにとっては自分の作品(から観えてくるもの)を大事にするためのやり方で、作品がアトリエを離れて、展示される空間に入った時に「どう見える」のかは、その場に置いてみないと分からないのだから、あくまでその場で「見えるもの」を尊重するために、へんに「前もって考えたこと(イメージしたこと)」に縛られ、引っ張られたくないからなのだった。それは、前もって考えなくても、作品そのものがもつ「内容」が導いてくれるはずなのだ。例えば、一つの作品のスケール感は、その作品の物理的なサイズとは違って、一つ一つでそれぞれ異なるから、ある作品が、その隣に置かれる作品とどの程度の距離をもって置かれるべきかということは、その作品そのもののスケール感、その隣に置かれる作品のスケール感、そしてその会場の空間などを総合してみなければ決定できない。これは、インスタレーション(配置)の効果の問題ではなく、一つ一つの作品のあり様がまず先にあり、その「描かれた内容」が、最もすっきりと見えるようにするためのものなのだ。そんなこんなで、いろいろと試行錯誤しているうちに、なんとかそれぞれの作品は、自らの納まるべき場所を見つけることになり、まあ、なんとかなったのだった。それにしても、自分の作品が広いスペースに置かれるというのは、とても気持ちがいいものなのだった。広いスペースをもたせるのに、作品の物理的なサイズが大きい必要など全くないのだということが(つまり作品が内包するスケール感こそが問題なのだということが)、自分の作品によって確信できた。
●と、いうことで、展覧会は明日(21日)からはじまりますので、よろしくお願いします。新作のタブロー10点、ドローイング21点(そのうち1点は「隠れたところ」にあるので、探してみて下さい)が展示されています。