●今日はずっと原稿を書いていた。この原稿は、ここ1、2ヶ月に試写で観た映画について、「時評」というかたちでまとめるもので、ぼくが今まで雑誌に書かせてもらった原稿のなかでは一番長い(といっても原稿用紙で15、6枚程度なのだが)ものになる。この「時評」では3本の映画について触れていて、そのうち2本の感想や評価については、試写で観たその都度に日記に書いたものと基本的にはあまりかわらないのだけど、3本目に取り上げる映画(それはヴィム・ヴェンダースの『ランド・オブ・プレンティ』なのだが)については、原稿を書いて(考えて)ゆく過程のなかで(他の2本との関連づけて考えたりしたこともあって)、徐々にその評価というか見方がかわっていったのだった。つまり、やはりヴェンダースという人は一筋縄ではいかない、複雑で面白い映画作家なのだなあ、ということなのだが。しかし、だからといって『ランド・オブ・プレンティ』が傑作なのかといえば全くそんなことはなくて、ヴェンダースの久々の新作がこれかよ、というような、何とも「困った」映画なのだけど。