●夢を見た。どこかの店から出てきて、中にいる友人を待っている。店は斜面に建っている。店の前の道から見下ろすと、斜面に貼り付くように小さな住宅がびっしり立ち並んでいる。ずっと遠くまで見渡せる谷の方から風が吹き上げて来る。人通りのない道に、二人のリの自転車がゆっくり通り過ぎてゆく。店の隣には、水色の波打つトタンでつくられた小屋がある。ぼくは何故か道に横たわる。放置されたままのような小屋の周りには、雑草が生い茂っている。斜面に建つ小屋も雑草も強い光をたっぷりと受けて跳ね返し、雑草の影が水色に塗られたトタンに濃く射し、風でゆらゆら揺れている。それを見ていると突然、はじめて来たと思っていたこの場所に、去年のちょうど今頃にも来ていて、同じように道路に横たわって、同じようにゆらゆら揺れる雑草を見ながら、店から友人が出て来るのを待っていたことを思い出した。店から出てきた友人にその話をしても、そんなはずはないだろうと、取り合ってもらえない。