●電車で一駅のところへ用事で出かけ、帰りは国道沿いを歩く事にした。国道のいちょう並木は濃い緑の葉を鬱陶しいほどに身に纏いつけていて、冬の間に見せていた、ごつごつしてささくれた原始的な枝振りを覆い隠していた。国道沿いを駅からやや離れると、昔からの古い店が多く建ち並び、なかには蔵を改造して利用した店もあった。古い店は、店のなかが暗くて、その暗さは決して嫌なものではないが、やはりどこかよそ者を受け付けない感じもする。途中にあった靴屋で、店頭の安売りワゴンにはいった、青い「スポーツシューズ」というものを買って、履き替えてみたのだけど、安い物だけあって、靴底のゴムがとても薄くて歩きづらい。でもまあ、それを履いて歩いた。