●アパートの部屋を出るとすぐ三叉路で、真ん中の道と右側の道とが駅へとつづいている。ぼくはたいてい軽く下っている右側の道を行く。(真ん中の道は軽く昇ってから、急に下る。)その道は、またすぐに二手に分かれていて、左に行くと近道で、右はまわり道になる。今日は時間に余裕があったので、のんびりと右のまわり道を行くことにした。道は、住宅ばかりが立ち並ぶあたりをゆるやかに弧を描きながら下っていて、近所にコンビニ一軒すらないひたすら家ばかりの一帯には、平日の昼間はあまり人通りがない。車一台がようやく通れるくらいの細い道が迷路のように入り組んでいるこの辺りで、この道は例外的に車がすれ違える広さをもっているのだが、細い迷路のなかに突如としてある広い道なので、車の通りが多いということもない。
道の真ん中で、黒い猫とカラスとが、やや距離をとってにらみ合っていた。(猫はぼくに背を向け、ぼくに近い方にいて、カラスまでは遠い。)気付かれないように、ゆっくりと近づいていっても、一匹と一羽はそのままじっと動かずにいる。ちょうどデジカメを持っていたので、猫とカラスが同時にフレームに入る距離まで近づこうと、気配を殺して歩く。歩きながらデジカメを起動させ、レンズを向けてフレームを確認しながら、徐々に近づく。その時、向こう側から、道に迷って行き先を探るような半端な速度で車が坂を昇ってきて、それを察知した猫が機敏に反応し、ツツツッと道の端まで移動して、家と家の隙間に消えてしまい、やや間をおいて、二三歩歩いたカラスが、ゆっくり羽根を広げて飛んでいってしまった。写真は取り損ねたのだった。
●今日の天気(06/09/19)http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/tenki0919.html