風邪ひいた/海へ

●風邪ひいた。用事があって出かけ、発車間近の電車に飛び乗った時は、喉がちょっといがいがするから何か飲み物を買っておけばよかったと思った程度だったけど、電車に揺られているうちに次第に喉の違和感は大きくなり、もしかしたら風邪っぽいかもと気付き、肩から首のあたりのハリが堅くしこってきて、ああこれはもう完全に風邪だということになり、約一時間後に目的地についた頃には、頭痛もひどくなっている。電車に乗った時には晴れていた空は、目的地につくとどんよりと重たく曇っていた。(前に風邪をひいて「治った」と感じた時も、電車で移動中で、部屋を出た時はまだ体調に不安があり、空も曇っていて、でも、電車に乗っているうちに体調と天気との両方がだんだん改善されてゆくのがありありと感じられ、目的地について、空が晴れ上がっていたら、すっかり体調が良くなっていた。今回もこの時も海の方へと向かっていた。)電車のなかでは、次第に重くなってゆく頭とだるくなってゆく身体に逆らいながら、クロソウスキーの「バルチュスの絵画における活人画について」(「ユリイカ」94年7月号)を読んでいた。ぼくはバルチュスの絵にあまり興味はないし、クロソウスキーの絵の面白さはもっと分らないのだけど、このテキストは絵画論としてすごく面白かった。
薬局で風邪薬を買って飲み、用事はすくに済み(役所で書類をもらうだけ)、そのままさっさと帰ればよかったのだけど、実家の近くまで来て海を見ないで帰る気にはならず、あたたかいうどんを食べたらなんとなく体調ももちなおした気もして、海まで歩くことにした。しかし歩き出すとすぐ雨が落ちて来て、それでも強くなりそうな雨ではなかったのでそのまま進み、しかし雨は少しずつだけど確実に強くなり、海に着く頃にはそれなりの降りになっていた。折りたたみの傘をもっていたのでそれほど慌てることもなく、海を目の前にしてそのまますぐ引き返す気にはならないので、しばらくぼんやり佇んでいたのだが、ふと、デニムのズボンがしっとり湿っているのに気がつき、このままもっと濡れてしまって電車に長時間揺られるのはまずいとさすがに思って、駅の方へと歩きだすのだけど、その時には身体じゅうが筋肉痛でギシギシいっていて、足を出すのもつらかった。
実際に風邪をひいたのは昨晩か朝方のはずで、出かけた時にたまたま症状が出たわけだろうけど、でも、空間の移動と気候の変化とともに体調がかわってゆく感じが面白い。いや、面白くなくてかなり辛いのだけど。
●今日の散歩(06/10/22)http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/sanpo1022.html