●別の目的でヨドバシカメラに行ったついでに覗いたDVDソフト売り場で『ゴダールの探偵』が出ているのを見つけて溜まっていたポイントで購入した。『勝手に逃げろ/人生』あたりからはじまった「八十年代のゴダール」の技術的な集大成みたいな作品で、その画面と音の豪華さは半端ではない。ほとんどのシーンが室内(ホテル内)で撮影されているということもあって、フレーミングから光りの捉え方から音の組み立てから、その凝りようというか凝縮力が凄くて、マニエリスムの一歩手前という感じさえする。一つのショットのなかでの俳優の顔に当たる光の状態の変化を見ているだけでどきどきする。(この頃のゴダールの撮る「顔」は何というか、顔を見ることの方が、身体に触れることよりも触覚的だという感じ、つまり相手に気付かれないうちに相手の身体に触れてしまっているというような後ろめたい感じを見る者に抱かせるような不思議なものだ。)フレームの外にいる人物が「動いた」ということが、フレーム内全体の光りの反射状態が微妙に変化することで分る。というか、あきらかに、フレーム外の人物の動きによって起きる、フレーム内にいる人物の顔に当たっている光の調子の変化を「見せよう」としている。(室内で複雑に反射する光りの状態を捉える画面上のことと、一つのホテルに複数のわけありの人たちが集まっていて互いに関係するという物語上のこととも、互いに反映し合っている。)あまりにも豪華で繊細な光りと音の戯れがあり、そのなかで、停滞し行き詰まった人たちが淀むように漂い、それらが、ゴダール特有の、軽薄でぎくしゃくした運動によってつながれゆく。
●今日の天気06/10/25(1)http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/tenki1025.html
今日の天気06/10/25(2)http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/tenki10252.html