DVDで『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(青山真治)

●DVDで『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(青山真治)。基本的には、映画館で観た時と感想はかわらないのだけど、映画館で観た時は、はじめの方で「おおっ」と思ってのめり込み、途中でスッと冷めてしまったので、否定的な印象の方が強く残ってしまったのだけど、今回は、その「白けた感じ」をあらかじめ知った上で観ているので、「ああ、こんなに格好良かったんだ」という印象の方が強く残った。木立のなかに黒尽くめの衣装で立つ宮崎あおいの後ろ姿のショットとか、「治療」が行われた翌朝、宮崎あおいが起きだしてきた後に示される、岡田茉莉子のペンションの前の朝の風景のショットとか(どちらもとても短いショットだけど)、ちょっと鳥肌ものだった。しかし、すごくカッコイイショットや、いいシーンが次々と出てくるにも関わらず、映画全体としてはどうしても「名場面集」にしか見えない。それは、ぼくには、作家がこの映画で何をしたかったのかがどうしてもみえてこないからだと思う。いや、青山真治が「意図的」にやろうとしていることの(全てではないにしろ)幾分かは、ぼくにも分らないでもない(と、思う)。そういうことではなくて、作家にとって意図的にコントロールできるわけではない、作家自身にも明確に分っているわけではない、しかしその「作品」をその作家につくらせるもとになっているような「何か」のようなものが、ぼくには感じ取れなかった、ということだ。この映画には、余計なものが沢山入り込みすぎているのではないか(お勉強したことを詰め込みすぎているんじゃないか)と思った。もっと自分のやりたいことだけに絞って勝負してもいいのではないか、と。
まあ、それ以前に、もっと単純に、シナリオというか「お話」の次元で、ぼくにはこういうのは受け入れがたい、というところが大きいのだろうけど。
●今日の天気(06/11/01)http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/tenki1101.html