●『ソウルトレイン』(三浦大輔)をDVDで。演劇をやっている人のつくった映像作品というのは大抵おもしろくなくて、演劇と映画というのは似ているようでまったく違うものなのだと思い知らされることが多いのだけど、この作品は「それ以前」の出来で、何の野心もアイデアもなく、ただ仕事が来たからなんとなく受けて、なんとなくつくった、としか思えない。演劇界で注目されている若手がはじめてつくった映像の作品というと、それが成功しているか失敗しているかはともかく、何かしらの野心とか狙いのようなものがあるのだろうと予想して観るのだけど、見事なくらい何もなくて、テレビのディレクターがつくった深夜ドラマみたいなつくりで(つまり、素材を深夜ドラマなんかでよくある形に落とし込んでいるだけで)、でもまあ深夜ドラマよりはカット数が多い感じなのでそれなりには凝っているのかも、というくらいで、アイデアもないところを、ただ掟ポルシェのキャラクターに頼り切って、このキャラがあれば何とか成立するだろうくらいの、びっくりするくらい何の工夫もない作品だった。