07/10/21

●『突破口!』(ドン・シーゲル)をビデオで。面白かった。この映画はかなり細かく伏線がはられていて、そこも面白いのだけど、例えば、その緻密なつくりに気づかなかったとしても(例えば、ズタズタにカットされたテレビ放送などで観たとしても)、その核心となる面白さがそれほど損なわれることはないように思う。密度濃く、綿密な構成できっちりつくられていることが、豪快で大掴みに捉えられる(時間と空間の)鷹揚さのようなものを、少しも損なわせていない、というのか。細かい作り込みがかったるさやまどろっこしさに繋がらない。これってつまり、結局は運動神経ということなのだろうか。
(冒頭の銀行を襲撃するシーンで、ウォルター・マッソーが何故、わざわざ足にギプスをしていたのかの理由が分らなかったりするのだけど、それはそれで納得してしまう。あと、物語的にこまかいことを言えば、主人公が秘書の部屋から銀行の頭取へ電話した時点で、追手は主人公の居場所を掴んでいるのだから、今までの追手の行動から考えると朝まで待たずに、速攻で主人公の寝込みを襲うはずなのに、なぜこの時だけ悠長に翌朝まで待つのか、というのが納得出来なかったりするのだが。)