07/12/02

●11月25日から、29日と12月1日を除いて、毎日(意識的に)同じコースを散歩している。ゆっくり歩いて二時間ちょっとくらい。今日は出掛けたのが午後1時半過ぎで既に光がやわらかくなっていたことと、それ程空気が冷えてはいなかったことで、風景に緊張感がなく、割と親しげでやわらかく、だらっとしていた。(だから畑の土が戦慄のように迫って来ることはなかった。)畑に放置されていた立ち枯れのナスは、根から抜かれて横に倒してあった。数日前まではすごい勢いで葉が繁り、沢山の花が垂れていた木立朝鮮朝顔は、一回り小さくなったようにしんなりとして、しなびた花が五、六個垂れているだけだった。途中で突っ切る公園ではフリーマーケットが行われていたようなのだが、もう店じまいの時刻で、祭りの後の潮が引いてゆくような雰囲気のなかを歩いて抜けた。
風景が向こうから勝手に目に入ってきて強引に目を見開かされるようなことはなく、どちらかというと「歩く」という身体の行為の方が意識されつつ、ぼんやりと考えごとをしながら散歩していた。ただ、部屋を出てすぐの、住宅街にある一軒の家の庭に生えていた、名前は分からない小さな木に隙間だらけについていた、ホオズキを連想させるような色の葉の赤が、この日記を書こうと思った時に最初に鮮明に思い出され、今もずっと強くイメージされている。