07/12/29

●妙にあたたかい日。散歩していても、汗がじっとりと染み出てきて気持ちが悪い。
●『サイドカーに犬』(根岸吉太郎)をDVDで。この映画が割とよいという話は聞いていたけど、ぼくはどうしても竹内結子が苦手なので劇場公開の時は敬遠していた。でも、観てみたら、竹内結子の映画ではなくて、あくまで小学生の女の子(松本花奈)の方が中心にいる映画なので、それほど抵抗はなかった。こういう女の子をみつけてきて、ここまできちんと演技させ、それを丁寧に撮っているというだけで、とても貴重な映画だと思う。それに比べれば、大人のキャラクターが、悪くはなくても、いまひとつありきたりなように思えた。(ほとんと、松本花奈っていう女の子がすべて、みたいな映画だと思う。とはいえ、相米慎二みたいには、この女の子を前面に出してはいないのだが、そのことで返って、この女の子の内省的な感じが拾えている。)最後の方で、それまでずっと抑制的だった女の子が、父親の古田新太のお腹に頭突きするところは泣けた。ああ、この(頭突き=感情を弾力をもって優しく吸収する分厚い肉をもった)丸い「お腹」があるから古田新太なのか、と納得した。あと、最初と最後に出て来るミムラが思いのほかよかった。勘所を掴めず、へんなところに力がはいっちゃってるようにみえてどうしても好きになれない竹内結子も、この役を彼女がやることで、小学生の女の子からみたら、自由で豪快な感じにみえるかもしれないこの父の愛人が、実はけっこういっぱいいっぱいな、余裕のない感じで感じで生きている人なのだ、という含みが出て、かえってよかったのかもしれない。(例えば、竹内結子が子供とキャッチボールするシーンがあるのだけど、このシーンで竹内結子は、この人は絶対いままでキャッチボールなんてやったことがないに決まっていると思えるような投げ方、受け方をする。カッコイイ自転車に乗って颯爽とあらわれるこのキャラクターとしては、キャッチボールくらい普通に出来て欲しいとも思ったのだが、この、出来ないキャッチボールを実は無理してやっているのだ、という感じが、かえってキャラクターの幅となっているのかも知れないと、思い直した。)
今の下らない日本映画バブルのなかでも、こういう地味な企画がちゃんと通って、ベテランの監督が力を発揮する機会がもっと増えればなあと思う。(この映画だって、『三丁目の夕日』みたいのが流行って、その延長の昭和ノスタルジーみたいな文脈で成立した企画なのだと思うけど。最近のツタヤで、古い日本映画がやたらと充実しているのも、昭和ノスタルジーみたいなものが流行っているおかげだろうし。)