●よしながふみ『大奥』(1)(2)。この人は、典型的な、「読むことによって描く」作家なのだなあと思った。非常に成熟したポストモダニストというのか。絵や描線も含め、隅々まで知的に、端正に制御されていて、乱れるところも破綻もなく、読みながら、そのことに感嘆しつつも、どこかうっすらと退屈と既視感が常に纏いつく感じとかも。そして特に2巻め、自らの意思がまったく剥奪され、徹底した受動を強いられる男が、そのような状況のなかで「愛することを強いられた」相手を、あらためて、自らの意思で「愛する」ことが出来ることを発見する、というような話の内容も含めて。
●『涼宮ハルヒの憂鬱』(7)をDVDで。最終話はちょっと良かった。長門有希の孤独をあらわすような、延々と続く部室のフィックスの長い俯瞰ショットに、一瞬、電車のキョンのショットがインサートされるところなど、泣ける。あと、二枚のカーディガンとか、芸が細かい。(このアニメのシリーズは全体を通して、淡々とした描写で見せる部分はとても上手いけど、物語を語ろうとするとだいたいコケている。)