08/02/25

●お知らせ。6月の後半(16日~29日)に、埼玉県川口市にあるギャラリー(masuii R.D.R gallery)で、画家の永瀬恭一さんと二人展をすることが決まりました。
これは永瀬さんの企画で(詳しくはブログ「組立 paint/note reallink」を参照して下さい)、永瀬さんが何人かの作家と連続して二人展をやろうという企ての第一回目となります。
ぼくと永瀬さんとは大学の同級生なのですが、学生の頃はまったく接点がありませんでした。おそらく、一度も言葉を交わしたことさえなかったと思います。はじめてまともに話をしたのは、卒業して10年以上経った、永瀬さんの個展の会場ででした。
それ以来、お互いに作品も観ているし、ブログも読んでいるという関係なわけですが、そこには微妙な距離があります。勿論、険悪な関係だということではありません。傍から見れば、似たようなことをしている二人ということになるのでしょうが、当人たちにとってみれば、似ているからこそ、細かな違いが無視できないものとなります。
永瀬さんから、二人展をやらないかという話をいただいた時に、面白いかもしれないと思ったのは、二人展であることによって、その微妙な違いが隠蔽されてしまうことなく、むしろはっきり見えてくるのではないかと思ったからでした。例えばこれがグループ展だと、どうしても仲間内っぽくなったりとか、あるいは逆に寄せ集めのように見えてしまうとも思われます。(永瀬さんが、グループ展ではなく、連続した二人展という形を考えているのも、そのようなことだと思われます。)
かといって、ことさら相違点を際立たせ、対立を見せようということでもありません。相手を圧倒して自分が目立てばよいということでもありません。たんに、違うものを並べてみよう、ということです。並べてみたら、いろいろ見えてくるものもあるかもね、というくらいのことです。すり寄るわけでもケンカするわけでもなく、冷静に違いを認識しよう、と。
まずなにより、ぼくは自分から積極的に動いてなにかをしようとすることのない怠惰な人間で、そこからして、いろいろと企画を立ててそれを実現するために精力的に動いてゆく永瀬さんとはまるで違うわけです。絵を描いて酒呑んで散歩していれば自己完結してしまうかのような怠惰な人間としては、永瀬さんのような人に突っついて刺激してもらうのは、大変にありがたいことでもあるわけです。
今回の企画で重要なことの一つに、「言葉」を大切にしようということがあります。信じてはもらえないかもしれませんが、ぼくには、本当は作家は黙って作品だけを提示するのがいいのじゃないか、という変な気取りがどうしてもあります。作品について説明するのは、どこか不純な行為ではないかという後ろめたさが抜けません。ぼくがこの日記で、自分の作品の制作過程をわざわざ書いたりするのも、自分のなかにある変な気取りに対する抵抗のような気持ちがあるのかもしれません。
変な気取りは変な気取りでしかありません。本気で絵を描いて生きていきたいのならば、自分がやろうとしていることを、周囲の人たちに理解してもらうことが不可欠です。そのために言葉はとても重要なものだと思います。その一環として、フリーペーパーをつくって会場に置こうという永瀬さんのアイデアは、面白いものだと思いました。(たんに、作品解説とか、批評家のありがたいお言葉とかよりも、フリーペーパーの方がカッコイイし、広がりもある感じがします。)
そしてそこ(言葉を大切にすること)には当然、ぼくと永瀬さんとが、互いの関心事について、どこが重なっていてどこが違うのかについて、話しをする、ということも含まれています。
この展覧会が面白いものになって、永瀬さんの企画のたちあげとしても、ぼく自身の展覧会としても、やってよかったということになればいいなと思います。
(川口までは、新宿からだと埼京線で赤羽まで行って、赤羽から京浜東北線で一駅です。乗り換え時間も含めて20分ちょっとくらい。東京からだと、京浜東北線一本で25分くらい。多摩地区の人は、西国分寺から武蔵野線南浦和まで、そこから京浜東北線というのもいいかも。)