●講談社に、大江健三郎賞の公開対談を聞きに行った。(中央線が事故で止まっていて、間に合わないかと思ったのだが、ギリギリ間に合った。)この賞は、受賞者よりも、あくまて選者である大江健三郎中心の賞なのだということがよく分かったのだが、しかし、大江健三郎が本気で岡田利規の小説を好きなのだということも、ひしひしと伝わって来て、それにはちょっと感動した。岡田利規というあたらしい小説家が出て来たのだから、自分はもういついなくなってもいい(かなり極端な意訳)、くらいの感じだった。
その後、打ち上げに参加させていただいたのだが(勿論、大江健三郎はその場にはいないのだが)、ぼくは呑むと動くのがかったるくなって(というか基本、動くのはかったるいのだが)終電を逃して帰れなくなる。他の人たちは、お開きになると皆すーっとタクシーに乗っていなくなってしまい、ぼくと、チェルフィッチュの俳優と、元チェルフィチュの俳優の三人だけ、ぽつんと残される。とりあえず三人でタクシーで新宿まで移動して、新宿で始発までいられるところを探そうということになった。チェルフィッチュの俳優はべろべろに酔っていて、タクシーのなかでずっとぼくの肩と二の腕を噛んでいた。
新宿に着くと、チェルフィッチュの俳優は急に翌日の稽古のことが気になり出して、眠れるところを探すといって一人でタクシーで去ってゆき、ぼくと、元チェルフィッチュの俳優(初対面)の二人だけが残される。初対面とはいえ、互いのブログを読んでいるということが判明していて、というかそもそも、ぽくが「岡田利規」という名前をはじめて知って、岡田利規という人ががなんか面白いらしいと知り、出てすぐに戯曲集『三月の5日間』を読むことが出来たのは、この人のブログを読んでいたからなのだった。この人は、「ユビュ王」「三月の5日間」(初演)「労苦の終わり」に俳優として参加していて、今は東大の大学院にいるという人で、朝までやっている居酒屋で、男二人だけで地味に、ぼそぼそと、初期チェルフィッチュの話や、現在の演劇の話をして、朝になったのでした。
(実は、前日は胃が痛くて一日ほぼ何も食べてなくて、今日も、スープとチーズくらいしか口に入れてなくて、その上、用事で二、三時間しか寝てなくて、しかも電車が遅れていたので乗り換えの時とかあり得ないくらい全力で走っていたりもして、かなりだるだるで頭も澱んでいて、そんなコンディションで、結果として徹夜して朝まで呑むとこうことになって、翌日というか、今、これを書いているのは9日の昼頃なのだが、今日はさぞボロボロな一日になるだろうと思っていたのだが、今のところは軽い頭痛があるだけで、体調は問題ないみたいだ。)