●『眼と太陽』(磯崎憲一郎)を読み返す。昨日、『肝心の子供』を読んだ時は、対談のネタを探すという変な下心がありつつ読むことになってしまったのだが、今日は、そういうことは考えずに、ただ、普通に読むことが出来た。単純に、とても面白かった。詳しいことは、21日の対談のためにとっておいて、ここには書かないけど、それにしても、すげえ胡散臭い小説だなあ、とつくづく思った。胡散臭いのに、清潔感があり、そして、ふわっと色気が漂う。そういう意味で、この小説は、それを書いた磯崎さんに、かなりの程度で似ているように思う。『肝心の子供』は、作家に似ているというよりも、作品そのものとして完結した、自律性の高い小説だと思うけど、『眼と太陽』は、それを書いた作家に似ている小説なのではないか。
●本の出版祝いということで、ある方から、小島信夫の本をどさっといただいた(三日前に宅配便で届いていたのだが、昼間ずっと部屋を空けていたので、今日ようやく受け取った)。『別れる理由』(1)〜(3)、『美濃』、『暮坂』、『原石鼎』、『平安』、『漱石を読む』。どれも、古本屋でもなかなか見つからない貴重な本ばかり。これらの本を目の前にして、くらくらする。