●ここ一ヶ月半以上、ずっと頭にあった作家論が、とりあえず最後まで行き着いた。少し時間を置いてから推敲して完成としたい(編集者からダメ出しが出なければ)。これは、最初十二枚でという話で、それでは短か過ぎて何も書けないからもう少し長く書かせてもらえないかと言って、なんとか二十枚にしてもらって、で、二十ニ、三枚になった第一稿を編集者に見せたら、面白いから、締め切りを少し伸ばすので、あと十四枚分くらい書いてもよいということになって、今の時点で、だいたい三十六、七枚くらいで、分量としてはこのままでもちょうどくらい。
これでも書き足りないくて、書きたい主題をまるまる一つ書けないで終わっているのだが、問題はそこにはなくて、最初、二十枚ということだったので、書き方が、その枚数に規定された書き方になっていて、それが三十六枚に伸びても、最初に規定された感じにずっと囚われたままになってしまっているところだ。まとまった引用が出来なくて、なんとなく駆け足で凝縮し過ぎな感じで、その結果言い切りが強過ぎる感じの文章になっているのだが、問題はその表面上の文体の調子にあるのでもない。最初に二十枚という短めの枚数が頭にあったために、はじめから「二十枚で書けること」というようなフレームの縛りが頭のなかに出来上がってしまって、結局最後までそれを動かせないままだったということなのだ。最初は、二十枚分のショートバージョンはさっさと書いてしまって、改めて別の(発表のあてのない)ロングバージョンを書こうと思っていたのだが、それが、ショートバージョンだったはずのものを長くしても良いということになって、中途半端なバージョンが出来上がってしまったかもしれないという危惧がある。勿論、これはこれで一生懸命に書いたし、それなりに面白いはずだという自負はあるのだけど、それでも、(ぼくにとって重要な)この作家について、こういう形で書くことがよかったのだろうか、という疑問が、多少残ってしまうことは否定できない。
(この作家の新作についての書評を別に書くかもしれないので、まるまる落としてしまって書けなかった主題については、そちらで書くことになるかもしれない。しかし、こういうきれぎれの書き方でいいのだろうか。)