●半年ぶりに髪を切る。今年じゅうになんとかしたいと思っていた(これを書いている今は既に年が明けてしまっているのだが)。二十センチくらい切った。半年前よりも短くなった。しばらくは、帽子なしでも表に出られる。知り合いに会っても、きっと何秒かは気づかれない。髪を切りに行った理容室の、2009年最後の客になったようだった。
行く時にはかぶっていた帽子を、帰りは手に持っていた。耳と首の後ろに空気(冷気)が触れる。帽子がないと視野が広い。日は暮れきっていたが、空はまだ薄明るく、空の色は、すごく透明感のある澄んた濃紺で、まん丸い月がとても大きく出ていた。風が強く、冷たい。そのまま、大晦日の街を散歩することにした。
ずっと歩いていると、からだのなかからは熱が発せられてだんだんとポカポカしてくるのだが、表面、特に外に露出している顔や耳、首などの皮膚には、冷気が直接触れるので、どんどん冷えてくる。この、からだの内側と外側とのギャップが「冬」という感覚だ。耳から侵入する冷たさで、頭痛一歩手前みたいな感じになる。
繁華街では、まだ七時過ぎなのに、半分くらいの店はシャッターを閉めて閉店しているし、人通りも普段よりずっと少なくて、閑散としている。ようやく、年の暮れを実感する。外国人らしい、複数の呼び込みから声をかけられる。「オニイサン、オアソビ、ドウ」「カワイイコ、イルヨ、オサワリ、アリヨ」
●ふらっとツタヤをのぞいてみたら、『少年探偵団』(「BD7」だ !)のDVDがあって、驚いた。ほくは小学校低学年の頃、このドラマがすごく好きだった。2009年は、これを観ながら終わらせることにした。今観ると、子供だましとさえ言えないような他愛のない、退屈なドラマなのだが(それに、明智小五郎が超かっこわるい)、ぼくは本気で「BD7」に入りたかったのだ。「BD」って書いてある、ベーゴマみたいな形のあのバッジが欲しかった。主題歌も完璧に憶えていた(水木一郎 !)。小林少年の役をやっているとてもうつくしい少年は、確かキャロライン洋子の兄か弟だったはず。