●忙しいわけではまったくないのだが、余裕がない。描くでも書くでも、集中してはじめてしまうと外のことがまったく見えなくなる。それを気にする容量が頭に残ってないので、外の時間の流れとリンクできなくなる。まだ一カ月くらい先のことだな、と思っていたことが、ふと気づくと既に終わっていたりする。
いや、中途半端に外と合わせようとしてバタバタしてしまうのがダメで、もっと堂々と外を無視してしまえばいいのかもしれない。それが出来ない自分は半端だなあと思う。
●朝起きて、午前中、こまごまとした用事を済ませ、昼前くらいから四時くらいまで、駅前のマックで書く。いったん引き上げて、ぶらぶら歩いたり、すこし寝たりして頭を休め、六時か七時くらいから十一時まで、別の喫茶店で書く(十一時で閉店)。買い物をして、十二時前くらいに部屋に戻り、そのままだと頭が興奮しているのと運動不足で眠れないので、アルコールを飲んで寝る。
まとまった文章を書いてる時はだいたいこんな感じ。なんかこう、トコロテンを押し出すみたいに、脳に過剰な圧力と緊張を与えて、無理矢理何かをぐーっと絞り出す感じ(ぼんやりと考えている助走の期間が長くて、書く時には一気に押し出す、という感じ)。絵を描く時は、絶対こんな不健康なやり方はしないのだが。絵を描く時は、脳に無理矢理の圧力や緊張を与えては絶対にいけないし、そんなことをしなくても集中できる。しかしどちらも、集中しだすと、他のことにまったく関心や目配りがいかなくなって、どうでもよくなってしまうのは同じなのだが。
●ぼくは画家なので、本来の仕事は描くことだ。でも、描くことによって書くことを代替することはできない。描くことによって書くことに換えたり、書くことによって描くことに換えたりは出来ない。だから、自分は中途半端だなあといつも感じつつも、半端な素人芸だと思いつつも、一生懸命書くことをしてしまう。