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●まぐれ当たりでも何でもいいから、とにかく一度ジャストミートの感覚を経験すれば、その感触はからだが憶えているから、その感触を頼りに手さぐりして、そこからいろいろな探求をしてゆくことも出来るけど、そもそも、一度もジャストミートの経験がなければ、手さぐりさえしようがない。
その状態では、何が良くて何が悪いのかも分からず、自分にいつかジャストミートの瞬間が訪れるのかどうかも分からず、というか、ジャストミートがどういうものかも分からず、ただ、やみくもに、雲を掴むような、自分が何を掴もうとしているのかも定かではない、ひたすら空を切るような行為を、いろいろ繰り返して試してみるしかない。先の見通しもたたず、勿論何の保証もなく、自分のやっていることがまったく無駄で意味のないことのようにしか思えなくもなる。ひたすら空回りしているように思えてくる。
(自分が何を求め、何を掴もうとしているのかということは、その「何か」の一端にかすった時にはじめて見えてくるのであって、それ以前に分かるものでないと思う。)
でも、どんな人でも(既に十分な成果をあげた経験豊かな人であっても)、何か新しいことをはじめようとするときはそこからはじめるしかないのだし、その、まったく先の見えない暗中模索の段階を、ズルしてスルーすることは誰にも出来ない。そこを別の何かによって代替することも、先回りすることもできない。最初の「まぐれ当たり」が訪れるまでは、いくら努力してもその成果がまったく実感できない時期を過ごすしかない。勿論、一生懸命やっていればいつかは「まぐれ当たり」がやってくるのだ、という保証もない。
でも、そのような行為の積み重ねこそが、潜在的に何かを準備している。そのような行為だけが、何か新しいものを準備する。とはいえ、それが、「潜在的に何かを準備していたのだ」ということは、既に、一度はまぐれ当たりを経験した人が、事後的に言うことでしかない。だが、まぐれ当たりを経験した人であっても、過去についてそれを言えるだけで、未来については何も言えない。誰も「先回り」は出来ない。まずは、最初のとっかかりとなる「まぐれ当たり」を求めて、方向も定かではないところへ進んでゆこうと、じたばたしてみる。