●今年初めて蚊に刺された。
●朝から晩までずっと引っ越しの準備をして、疲れ切ってお酒を飲んで寝る。そういえば昨日、お酒を飲んでいる夢をみた。とてもおいしいお酒で、味を今でも憶えている。
●このアパートに住んでからずっと気になっていた路地がある。駅へ行く通り道にある、塀と塀との隙間の細いのぼり道。普通に考えれば、そのまま人の家の敷地につながっているように見える。ただ、別の場所に似た感じの別の路地があり、なんとなくそこと繋がっていそうな感じがずっとしていた。どちらの路地も、表の通りからの見掛け上は直接人の家の敷地に繋がっている感じなので、そこに踏み込むのをこの十年ずっと躊躇していた。人がその路地に入ってゆくところを見たこともなかったし。ただ、この路地の奥(先)を歩いているとしか思えない靴音を聞いたことはあった。
しかしもうここを離れるので、買い物の帰りに思い切って踏み込んでみた。人家の敷地に繋がっていると思われたその路地は、敷地の直前で急角度に曲がっていて、もっと奥へ進めそうだった。少し先には小さな真っ赤な鳥居があり、お稲荷さんの祠もある(この辺りは地蔵や稲荷がいたるところに沢山あって、それが、この辺りの道がやけに入り組んでいたり、開発のされ方が明らかに変であることと関係があるのかもしれない)。祠の先にも路地はつづいているようだが、道というより本当に塀と塀の隙間みたいで、人の家の裏を通っているようで、先に進むのが少しためらわれた。しかしその細いところをしばらく行くと、とつぜん空間がひらけ、斜面になっている広い空地に出た。この辺りは駅付近までコンビニもない本当に住宅しかない住宅地で、起伏のある土地に家がびっしり立ち並んでいると思っていたのだが、そのなかにこんな空洞があったのかと驚いた。丘の斜面がそこだけ開発されずにとり残されたみたいに草が生えている。路地はその斜面の一番高いところを通っていて、駅までの風景が見渡せる。見慣れた風景ではあるけど、この位置からははじめて見る。しかしこの斜面は家々に隠されていて「向こう側」からは見えないのだ。
再び塀と塀の隙間のような道に入り、くねくね蛇行しながらしばらく歩くと、予想通りに「なんとなくそこと繋がっていそう」と思っていたところに出た。