●中途半端に忙しくてがっつりと本を読んだりする時間、というより気力がないのだけど、ここのところ寝る前に『げんしけん』のアニメ版を一日に二、三話くらいずつ観ていて、第一シリーズ+OVA(1〜15話)まで観た。アニメとして特に突出してすばらしい作品とは思わないし、けっこう退屈な回とかもあったけど、アニメには歴史があるのだなあということを感じさせられる。今やっている『中二病でも恋がしたい!』や『ロボティクス・ノーツ』も、『げんしけん』の流れを汲んでいるというか、そこから多くのものを得ているように思われる(『ロボティクス・ノーツ』には『げんしけん』の名セリフの引用があるし、『げんしけん』で引用されているシャアのセリフの引用もある)。これは『げんしけん』が後の作品に決定的に影響を与えた作品であるというよりも、アニメには脈々とつづく様々な水脈がいくつもあり、それらが合流したり分岐したりして、個々の作品へと流れ込み、それによってまた新たな流が生まれるのだということを感じる、という感じだろうか。それなりに量を観てくると、一つの作品が決して一つの作品だけで出来ているわけではないことがみえてくる。それは文脈依存というより音楽的な展開という感じ(と、音楽に疎いぼくが言うのもなんだけど)。変な言い方になるけど、アニメは今、「ジャンル」というものが成立し機能している稀有なジャンルなのではないだろうか。
(『げんしけん』の優れたところはおそらくキャラの配置で、一人一人のキャラは割合に典型的だけど、それをどう配置すると話がどう動くのか、という点において面白い。「空気」を破壊しない程度に揺るがせる新キャラの登場のさせ方、とか。あるいはそれは、荻上さんのような爆弾キャラまでも包み込んでしまう「げんしけん」という「空気」の支配力、ともいえる。まあそれは主に原作の功績なわけだけど。)