●「コラボ・モンスターズの魔!!」で『旧支配者のキャロル』、『love machine』と一緒に上映される8〜9分程度のミニコラボ作品を観た。≪ミニコラボとは映画美学校初等科生をスタッフに、撮影1日、ノーライトで撮られた実習作品≫。『おそらく悪魔が』『続・おそらく悪魔が』『炎の天使』(高橋洋)、『パンツの名』(古沢健)。
高橋作品では、『旧支配者…』が、割合にシンプルで分かり易い「娯楽」が意識されていた分、こちらでは本当にやりたい放題な感じになっていて、すごく楽しい。特に最新作の『炎の天使』では、説明というか、合理化への配慮がほぼ放棄されている。観客は、「笑い」という分かり易い解決も与えられないので、観たままのディープな「高橋洋」を受け入れるしかない感じ(とはいえ、『旧支配者…』と『炎の…』の違いは、設定が受け入れられやすいものかどうか、でしかない気もする)。『続・おそらく悪魔が』は、低予算とか実習作品とかそういう括りと関係なく、普通に傑作じゃないかと思った。
あと、『パンツの名』が無茶苦茶面白かった。製作年から、おそらくこの作品が『making of LOVE』や『love machine』のような方向性の作品の原点みたいな感じではないかと思うのだけど、ぼくにはこれが一番面白かった。ちょっとチェーホフみたいな香りもある。DVの小型カメラによるラフな撮影もぴったりはまっている感じ。
とにかく石川(登場人物)にはすごくむかつくのだけど、とはいえ、観客を含めすべての人物は最終的には石川に対する敗北を認めざるを得なくなって、まず「えーっ」と思い、次に「キーッ」となり、しかし最後には力なく笑うしかない。石川が最強の世界。このような世界は、高橋洋的世界とはまったく別の意味で、非常に過酷で理不尽だ。