●引用、メモ。『トポロジカル宇宙――ポアンカレ予想解決への道』(根上生也)より。本筋とはあまり関係ないところだけど、面白かったので。
≪たとえば、私たちのような高等生物が誕生するプロセスを考えてみよう。生物の授業で習うように、卵細胞が受精した後、細胞分裂が繰り返し行われて適当な大きさに成長すると、『原口陥没』が起こる。これは丸かった細胞の塊の一部がへこんでゆく現象である。そのへこみの穴がどんどん深くなり、ついには貫通する。こうしてできた穴が私たちの消化器官になるわけだ。
普通の動物の場合、その原口がお尻の穴に対応していて、貫通してできた穴の出口が口になる。これに対して昆虫の場合は、口ができてからお尻の穴ができる。これだと細胞のめくれ方が反対になるので、昆虫たちは私たちとは裏返しに体の外に骨があるのだそうだ。≫
人間は裏返された昆虫である、とか。穴があくこと、裏返ること、は、それだけで面白い。