●『攻殻機動隊 ARISE 2』をDVDで観た。ぼくは「1」は全然良いと思わないのだけど、これは成程という感じだった。押井版の、コンセプトとしての新しさ、神山版の、社会派としての生々しさに社会学とかで思想的に味付けする感じ等の、いわゆる「攻殻」っぽい「とっぽい(あるいは、書生っぽい)」感じは大きく抑制されているのだけど(物語や設定は通俗的だし浅いと思うけど)、その分、アクションが全面に出ていて、ひたすらアクションで押してくる感じ。このアクションは、かなり立派なものなのではないか。ぼくは「ARISE」の、架空の戦後みたいな設定を、どうしても安っぽいなあと感じてしまうし、「2」の物語にもそれを感じはするのだけど、それがどうでもよくなるくらいにアクションがびっしり隙間なく効いていたと思う。54分という時間も、アクションで押すのにちょうどいい感じだと思った。
(以下、ちょっとネタバレ)
ただ、構造を複雑にしたり、話を難しくしたりはせずに、シンプルにするとしても、背景となる設定はもう少しがっつり作り込んで欲しいという気はしてしまう。例えば、ソガ大佐というキャラクターが、「個別の11人」のクゼや合田に比べるとあまりに薄っぺらに感じられてしまうのは、その行動の背景にある「思想的な裏付け」がほとんど感じられないからだと思う。まあ、たんに「操られていた」ってことなのだけど、オチとしてはそうだとしても、こういう事件を起こす人物には、裏に確固たる思想的な裏付け(それが狂ったものであっても、強い理念のようなもの)があるかのように感じられないと、物語の展開が説得力をもたないと思う。そのような強い信念が、実は「操られていた」ものだった、ということになって、はじめてショックが生まれる。ソガの行動は高度に知的で、綿密で周到で執拗で大胆なものなのに、それを支える動機(信念)が弱く、たんに自棄になっているだけの人にしか見えない。ならば操り人形でも当然、と思ってしまう。「ARISE」はその部分がすごく弱いように思う。
●今期のアニメで面白いと思うのは(まったく注目していなかったのだけど)『一週間フレンズ』で、ぼくの「好み」の感じではないけど、記憶リセットというSFっぽい主題を、日常系の狭い枠のなかでいろいろ多彩に展開できている感じで、ああ、こういう方向もアリなのかのと思わせてくれる。あと、今の時点でそこそこの感じで、今後面白くなるかもしれないという期待がもてるのは、『シオドアの騎士』『ブラック・ブレッド』くらいだろうか。『M3〜ソノ黒キ鋼〜』は、一話はとても面白くて期待したのだけど、二話になってキャラの動かし方(色づけ方)があまりに岡田麿里風になってきて、「うーん」という感じでちょっと引き気味。『極黒のブリュンヒルデ』は、お話は面白そうなのだけど、アニメとしてのクオリティがちょっと低すぎる気がする。あと、『メカクシティアクターズ』は、三話まで進んでもほぼ内容が何もないとしか思えないのだけど、むしろ中味がスカスカの方が、シャフト的な、装飾過多で外連味のある演出に合っていて、観ていて楽しいことは楽しい。