●バタバタしていたのがひと段落ついて、ようやく『魂のレイヤー』(西川アサキ)を読み始める。読み始めるのだけど、はじまってすぐの三章目に、リヴェットの『美しき諍い女』を「心身問題に関する教養番組」として(例えば、相対論をCGなどを使って解説する科学教養番組と同じように)観る、というテキストがあって、これがとても面白くて映画を観たくなってしまい、ツタヤに走ってDVDを借りてきて四時間もある映画を観はじめてしまったので、本を読むのはそこまでとなった。
最近では「長い映画」を観る根気も欲望も著しく後退していて、リヴェットを観るのも本当に久々なのだけど、億劫がらずに観はじめてしまえば、やはりとても面白いのだった。『美しき諍い女』は、そこで描かれている絵が全然良くないというのが最大の不満だったのだけど、西川さんのテキストを読んでから観ると、本当にちゃんと西川さんが書いているようになっているので、映画の中の絵が何故そういう風になっているのかという必然性については、あー、成程、と納得することができる。納得はするけど、やっぱりいい絵ではないとも思うけど。
●『魂のレイヤー』の第一部は、前の『魂と体、脳』の復習になっているような感じで、かなり分かり易く要約されているので、前の本が難しくてよく分からなかった人は、ここを読んでから再びトライするといいのではないかと思った。前の本が、一つの問題をぐんぐん深く追及してゆくという感じだったのに対し、今度の本は、一つの主題を様々に変奏してゆくという感じっぽい(まだ読んでいないけど)。