●お知らせ。9月26日づけの東京新聞、夕刊に、Bunkamuraザ・ミュージアムでやっている「だまし絵2 進化するだまし絵」展のレビューが掲載されます。
●「反戦――来たるべき戦争に抗うために展」を観に行った。
http://hansenten2014.tumblr.com/
「呼びかけ文」には、明確に「集団的自衛権行使容認反対」と書かれているが、展覧会のタイトルは「反戦」となっている。「反戦」という言葉には、具体的・積極的な意味はほとんどない。「反戦」が「好戦」と違うということは分かるけど、それが具体的にどういうことのなかはよく分からない(つまり、シンプルで強く、効果的なメッセージはない)。でも、だからこそ、そこに「作品」がかかわる意味が出てくる。つまり、「反戦」というそれ自体茫洋としたイメージしかない言葉のなかに、具体的な意味なりイメージなり実践なりを創造するのが「作品」だと考えられる(「反A」は「Aに反対する」という否定的定義であり、それだけでは具体的内容がない)。例えば、「このブルーこそが反戦という言葉の意味であり実践なのだ」という絵画は考えられる(例えばマティスは、「自分の絵こそが抗ナチスの実践なのだ」と考えなかっただろうか?)。この展覧会自体が、「反戦」という言葉の意味の具体性を創造し実践しようとする試みであり、展示されている作品の一つ一つも、それぞれのアーティストによる、「反戦の創造」のための試行錯誤なのではないか。そういうものとして、ぼくはこの展覧会を観た。
(だが、このように考えることは、この展覧会の政治的な意味やアピール性――この展覧会が「今」行われなければならなかった必然性とか――を消してしまうことになるのかもしれないのだが……。)