●「サイエンス・ゼロ」で、カナダのD-Ware Systemsから発売された量子コンピュータについて特集していた。量子アニーリングによって実現された、世界ではじめての商品化された量子コンピュータ
とてもざっくりとした説明ではあったけど、この方式のコンピュータにおいては、プログラミングとは、量子ビットの間にネットワークをつくり、そのそれぞれの関係に重みづけの違いを設定することで、計算とは、プログラムとして設定された条件のなかで最も安定した(エネルギーの低い)状態をみつけだすことである、という理解でいいのだろうか。コンピュータは、エネルギー的に最も安定した状態を導くたの装置である、という感じ。
番組のなかで竹内薫も言っていたけど、これだと「計算する」というより「実験する」というイメージに近い感じ。リジッドなロジックの連鎖のなかで情報を処理してゆくというより、装置を組み立てて(プログラムがグラフィックによって示されていたので、まさに「装置を組み立てる」という感じにみえた)、答えは「世界の法則(エネルギーの安定)」に聞く、というイメージ。
(まあ、たんに「非ノイマン型」だ、ということに過ぎないのかもしれないけど。)
量子論の啓蒙書には大抵、量子の世界では「可能なこと」はすべて計算しなければならないというようなことが書かれている。それは逆から言えば、その一つの状態が、可能な状態のすべてを同時に実現している、ということになる。だからこそ、量子を用いたコンピュータは、天文学的な数の「場合分け」が必要で、そのすべてについて計算しているととんでもなく時間がかかってしまう問題(「組み合わせ最適化問題」のような問題)について、そのすべての「場合」を同時に計算することが出来(る可能性があり)、そして、(量子アニーリングによって)そのすべての「場合」のなかで最もエネルギー的に安定した状態(最適解)を速やかに導くこともできる。と、こんな感じの理解でいいのだろうか。
●改めてリンクしておく。日経サイエンス古田彩による「量子コンピュータの歴史」。2005年に行われた慶應大学理工学部での講義用の動画。
http://www.youtube.com/watch?v=wBilQWKd1yU