●あたたかくて天気の良い日。こういう日は島を歩くのがいいということで、高速船で瀬戸田までゆくことになる。



その前に、海に開けたしみず食堂で、バラ寿司、ハゼの揚げ物、ナスの煮物と、ビール。ハゼを食べながら、子供の頃「ハゼどん」というアニメが好きだったなあ、あのハゼを食べているのだなあ、と思う。
船に乗って三十分くらい。天気が良いと思ったらとたんに霧につつまれ、しばらく進むとまた晴れてゆく。割合に海から近いところで育ったけど、相模湾は太平洋に面していて、ずっと先のアメリカまでただ水面がつづく。しかし、瀬戸内海は島と島の間に海がある感じなのが新鮮。そして光の鮮やかさが違う。尾道に行って思うのは、印象派やポスト印象派は、形式や美術史の問題ではなく、光と風景の問題だったのではないかということだ。こういう光、こういう風景を「描こう」と初めて思った(絵画としてはじめて問題化した)人たちだ、という意味では歴史の問題であるとしても。
瀬戸田に着き、そのあまりの静かさに驚く。まるで現実の場所ではないかのように静かで、時間の流れの外にいるような感覚で、ちょっと地面から浮いているようだ。



天気の良い日にぶらぶら歩く幸福。狛犬の尻尾がとても立派。



平山郁夫美術館で展示されていた子供の絵が面白くて、絵って面白いものだなあと思う。しばらくぶらぶら歩き、食堂に入ってビールを呑む。はいじまさんが言うには、こっちの人は仕事中の昼食でも普通にビールを呑む、打ち合わせの時でもビールが出てきたりする、と。
帰りは三原行きの高速船。霧は晴れてすばらしい光。船ってすげえ、島ってすげえと思う。



夜は、お好み焼きを食べ、「やまねこカフェ」と「とりかわ」という居酒屋で呑む。