●『リアリティのダンス』(アレハンドロ・ホドロフスキー)をDVDで。かなり凡庸な映画だった。最初は、監督自身の自伝的な話かと思ったら、むしろ父の方がメインだった。マッチョな父であり、共産党員として、消防団員として、社会的正義への志もあった男の、気概と挫折、時代に翻弄された数奇な運命、そして救い、みたいな話。
ただ、凡庸であるからこそ、二十世紀というのはこういう時代で、近代はオイディプス的な時代であり、男=父とはこういう存在だったのだなあ、ということが、けっこうリアルに、そして分かり易く(カリカチュア化されて)示されていて、そのような興味によって最後まで観られた。
凡庸というより、典型的と言ったほうがいいのだろうか。あまりに典型的に「近代文学」的であり、エディプス的であることに、むしろ驚いた。特典映像を観たら、ホドロフスキーの父の役をやっている俳優は、実の息子だという。そういうところまで含めて、近代文学だなあと思った。
(南米文学風味+俗流精神分析と言ってしまえばそれまでなのだけど。)