●「百年」で作品展示をした時の、柴崎友香さんとのトークを文字起こししたものを、チェックのために読んでいた。こういうトークでぼくはいつも、相手の言ったことはけっこう憶えているのだけど、自分が何を言ったのかほとんど憶えていないので、文字になったものを読んで、ちゃんと「対話」っぽいものが成立している感じなので、安心した。
ただ、ぼくの喋り方は、「これって(と物を指さす)、こんな(身振りで示す)感じなんですよ」とか、「これはこうやって(身振りをする)つくってるんです」みたいなのが多くて、言葉でちゃんと説明してないということが分かった。《形式としてこうなってるのがこうなってるような感じ》という発言が文字起こしに実際に書かれていて、この時には何らかの身振りがあったはずなのだけど、「こうなってるのがこうなってる感じ」って言われても、たとえその発言者が過去の自分であったとしても、それじゃあ一体何を言おうとしていたのか分からないよ、と言いたくなる。
(おそらく、普段、言葉や論理で考えていなくて、空間的な配置や配線のイメージとして考えていて、それを後から言葉や論理に翻訳して変形させてゆく感じなので、トークのような、相手の言葉にその場ですぐ反応しなければいけない時に、その速度では言葉で反応し切れないのではないかと思う。)