●夏の川原の光に促されて、回り道して一時間かけてアトリエに行き、一時間かけて帰ってくる(最短距離を歩けば12、3分)という習慣はまだつづいている。いや、帰り道はもうすっかり暗いので30分くらいか。
しかし、夏はもう完全に終わってしまっている。ここ半月くらいずっと曇っていて太陽を見ていない気さえする。八月は写真を撮りまくっていたのに、九月に入ってからは全然撮っていない。曇っていると川の表面が妙にギラついて見える。
二本の川が合流し、その少し先でもう一本やや小ぶりな川が合流するところを歩く。大きな川とやや小ぶりな川が合流する岬の突端のところに、いつもシラサギ(たぶん)が一羽佇んでいる。シラサギは、昼間は群れをつくらず単独で行動する。飛んでいるのを見ても一羽だ。一羽でいるシラサギは崇高な感じがする。しかし実は、二本の大きな川が合流するやや上流寄りのこところに塒(ねぐら)があり、夕方になるとおそらく六、七十羽くらいが集まってくる。白くて大型の鳥が近くにかたまって、緑の草の上に点々といるのは正直けっこう気持ち悪い。一羽でいる時の孤高の感じが台無しで、見なくてもよい舞台裏を見てしまったような気持ちになる。
川をもう少し下るとお椀をひっくり返したような小さな山がいくつか連なる。この山はカラスの塒(ねぐら)となっていて、こちらは数百という単位のカラスが夕方になるとカアカアと飛んできて、近くの空をしばらく舞って、山へと消えてゆく。空を覆うカラスの数は恐怖を感じるレベルだ。
今日は強風がうなって、ごうごう吹いていた。